胡蝶姉妹2 ページ14
「こんにちは」
『しのぶさん、こ、こんにちは』
病室でくつろいでいると、しのぶさんがいつもの素敵な笑顔でやってきた。
しのぶさんとは、以前……、
目が覚めた時に話したことがある。
ーーー
「私たちが通った那田蜘蛛山の一部、そこだけあたり一面が季節外れにも凍りついていました。ねぇ、千代さん、何か心当たりはありませんか?」
『…っ』
見られてしまった後では隠しようが無い。
心当たりはないかと聞いているが、きっと私がやったとなんらかの確信がある上で聞いてきている。
話さなくてはならない。
しのぶさんは柱だ。
話せば、鬼殺隊トップにも知れ渡るのは分かる。
私は、不安に駆られながらも、あの山での出来事や自分のことをゆっくり話した。
「そうでしたか……。話してくれてありがとう、千代さん」
彼女はそう言って、優しく私を抱きしめてくれた。
「今の話、現地報告として、お館様や他の柱の皆さんにも伝えて大丈夫ですか?あと、今後の治療のために蝶屋敷の面々にも」
「……あなたは、今の話を聞いて、私を嫌いになったり、気味悪がったりしないんですか?」
怖い。自分のことを話すと、みんな周りからいなくなってしまいそうで…。
「はい。全然気になりませんよ?驚きはしましたが、それがあなたを否定することにはならない。あなたはもっと自身を持っていいと私は思います」
炭治郎と、同じことを…
あの時泣いてしまった私を、しのぶさんはまた優しく抱きしめてくれたんだっけ。
安心しちゃったんだよなぁ…。
ーーー
「千代さんが動けるようになったと聞きまして、どうですか体の方は」
『はい…だいぶ良くなりました。足も治りましたし』
「それはなによりです」
ニッコリ笑ったしのぶさんは、ぴとっと私のおでこに手を当て、自分のおでこにも手を当てている。
「うん、熱もすっかり引いたようですね。良かったです」
『あ、ありがとうございます。しのぶさんの手はあったかいですね』
「そうでしょうか?千代さんは体温が低いですからね。さて、ではそろそろ彼らと一緒に機能回復訓練に入りましょうか」
『はい!頑張りますっ』
(あぁ…千代さん、なんて可愛いんでしょう…。前にお話した時も可愛かったですが、今この瞬間も可愛い。
カナヲが友達になったと喜んでいた理由が分かりますね。
やはり男三人と部屋を分けた方がいいでしょうか)
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作者名:りんらん | 作成日時:2020年9月29日 18時