惹かれてしまったから。(短編集) (ページ24)

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悪役妄想悲話 izw（失恋ページ24

人気商売って分かった上で彼を好きになった。なんなら人気商売をしている彼を見て恋に落ちた。そしてこの恋は実った。分かってるの、分かってるのに、こんなにも辛いのは私が嫌な女だからなんだろう。
拓司くんは優しくて面白くて、私を愛してくれてる。それだけで充分なはずなのに、望むものはもうないのに、彼の職業を恨みたくなるのは何故なんだろう。
私は一所懸命にクイズをしている彼に惹かれたのに、他の人が彼に惹かれていく、所謂ガチ恋勢やリアコの方々がいる事に不満を持ってしまう。それが私の心に矛盾を生んでいるのは分かってるし、我儘だってことも分かってる。
ただどうしても違う形で出逢いたかったなんて。絶対に不可能なことを願うなんて、汚い心だ。
そしてこの汚い感情が自分を正当化するために喚く。それが酷く気持ち悪い。

きっと私より彼に似合う女性は沢山いて、私はきっとその人の敵。だからこの気持ちのまま彼へ依存すればいい。そしたらいつか彼に似合う女性が出てきて私から彼を奪っていく。そしたら私は悲劇のヒロインになる。

妄想というたった二字の言葉に、これほどの欲が詰まってしまうのは私の人間性なんだろうか。はたまた彼の優しさ故か。
関係、考え、価値観、全て捨ててまっさらに生まれ変わって彼と出逢いたい。不可能を願う想いが汚ければ神様は叶えてくれないだろうか。
昔の純粋だった心は悪役の考えを理解し同情してしまうほどに汚れてしまったらしい。まぁわかった所で変えれるほど強い人間じゃないが。

ただこんな長い長い私の心の叫びには一つ原因がある。いや、言い訳かもしれない。

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