【歌い手】ラブストーリーは永遠に【BL】

45話 ページ45

投与される抗がん剤が、日に日にセンラの体力を奪っていく。

昼間も寝ている時間帯が増えた。


食事を摂っても、嘔吐してしまう回数が増えた。

それでも、センラは暇さえあれば鉛筆を握りしめてノートに書き続けることを止めない。


伝えられない想いを必死に書き溜めていくその姿に
医師が一度聞いたことがある。



『そんなに頑張って何を書いているんですか？』



センラの返事は

少し恥ずかしそうに





『ラブレターです。』




とだけ。
それ以上は、聞かなかった。

志麻は、あれからも毎日見舞いに来続けている。



「センラさーん、来たでー！！愛しの志麻ですよ〜！！」

「ちょっと！恥ずかしい登場の仕方止めてくださいよ！！」

「あれ、あかんかった？？」



志麻が来るといつも病室は明るくなる。


もともとのセンラの性格もあるが、どうやら同室のおじさま達とはあっと言う間に仲良くなったらしい。

見舞いに行けば、おじさん達がほぼ毎回志麻を出迎えてくれる。



「何見てるん？」

「このまえさっきーちゃんに貰ろたビデオです。ほら、ライブの時の。」



コンパクト式のDVDプレーヤーを持ち込んで、センラはいつもDVDを見ている。

それは、専属カメラマンであるさっきーが編集した『浦島坂田船』のライブ映像やメイキング映像、過去のもの含め数本をこの間持って来てくれたのだ。

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