同業者メンバーの愛が重すぎる!!【wrwrd】 (ページ29)

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番外編2_昔話ページ29

「案外ダメでした、Aさんの事誰も何も知らないみたいです」

朝とは打って変わってつまらなそうに唇を尖らせているエーミールがいた。
廊下で適当に捕まえた同業者に聞けば

「あの人はとても運動神経がいい。あの人がほうきで空を舞う姿には美しい生命力を感じざる得ない」だとか、

「あの人はとても博識でいらっしゃる。以前にも話を伺う機会があったのだが、あれは恐らく大学レベルの知識だ」とか、

「確かにあの人は変わり者かもしれないが、それを許されるだけのものを持っているのさ」だとか。

ただただつまらない肯定文しか聞けなかったという。

「そもそも他の人が、あの人のプライベートを聞けるレベルに仲のいい奴っているんですかねぇ？」
「僕の事で何かあるの？」
「ひゃっ！！！」

出やがった、とエーミールの肩に力入ったのはすぐ分かった。

「やぁ、聞いたよエーミールくん。僕のことを聞いて回ってくれているそうじゃない！僕に興味を持ってくれるなんてとても嬉しいね！！」
「ほぉ…なら聞いたらなんでも答えてくれるんですか？」
「いやいやいや、君は知りたいと思っている野郎に直接話を聞くのかい？まさかぁ！」

Aの挑戦的な目が俺を射抜く。

「獲物を捕えるにはじっくりと相手を観察することから始まる。まさか相手から差し出されるのを待つだなんて、それでは狩りではなく餌付けだよ。そうでしょ？総統くん」

ギラギラとしたアイツの目に思わず口端が上がる。

「ふっ、ノラないな。お前なんかにそんなに時間がさけるわけがないだろう？」

「おやそうかな？君の目はそう言ってないように見えるけどね。その目はもう、早く僕の皮膚をその鋭い牙で引き裂いて、肉を食べてしまいたいと言っているようだけど」

「勝手に言っていろ」

「ふふ、喧嘩はやはりこうでなくてはね。スリルがあっていい」

楽しみだね、と言って去っていくAを横目に皿に乗った肉をフォークで刺す。
あの飄々とした男の首に歯を立てるのが楽しみだった。
喧嘩でも無い、変な気分だ。

【昔のAくんが口調だんだん打ち解けてたらなぁ～という妄想。続きは好評だったら出します(コメオフにしてる人)】