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第8話 ページ9

「太宰君!早すぎだよぉ〜」

その声にピクリと動く。
もう1人、誰かの声が聞こえた。
走ってきたのだろうか疲れた顔をしてる男の人が来た。

「やぁ、森さん...遅かったね」

そこで初めて男の子の声を聞いた。

綺麗な声...

男の子は私から目を離し、男の人を見た。

「森さん、見つけたから早く帰ろう。僕もう帰りたい。」

男の子はそう言うと、再び私に視線を写した。

そして、何かのピンを取り出し、曲げ始めた。

「じっとしててね」

そう言われ動かないでいるとそのピンを使って鎖の鍵の穴に入れカチャカチャしだした。

数秒後、
ガチャンと私の首にあった枷が外された。

スーと首元に風が通る。

そして次は手、足と外されていった。

私の鎖を外す彼はどこか真剣でそれでいて悲しそうな顔をしていた。

鎖を外し終わると男の子は下がり、さっきの男の人が目の前に来た。

その人は私の目線に合うよう腰を下ろした。

「こんにちわ、お嬢さん。少し手荒なまねをしてすまないね。」

そう言ってゆっくり頭を撫でてくれた。
この人も、あの男の子と同じ、撫で方がとても優しかった。

「君を貰いに来たんだ。私達とおいで、もう、痛い思いはしなくていい。」

痛い...思い......
確かに痛い思いも苦しい思いも沢山した。

でも......

私は静かに首をふった。

それをみて、二人とも驚いた顔をした。

「...た......また、...すて、られ、る...くら...い...なら...」

しんだほうがマシ。

そう伝える。

もう、ずっと出さなくなった声は所々掠れていて、小さな声しかでなかった。

それに、私の事を知ると、皆と同じ、気持ちわるいと気味悪がるだろう。



そして、男の子の方は何も聞こえないが、男性の声が聞こえた。

私を渡すために連れて帰るのだと。

この人たちは、私を誰かに引き渡すために来たに過ぎない。

行かないと答えた私にしばらく2人は黙ったままだったが、今度は男の子の方が私の方に来た。

私に合わせるように膝をつき、目が合った。

その瞬間、ギュッと抱きしめられた。

突然の事でビクリと反応してしまった。

それを感じ取ったのか男の子は優しく背中を撫でてきた。

「大丈夫...君を捨てたりなんかしない。僕も森さんに拾って貰ったんだ。だから、大丈夫だよ。」

優しく、落ち着く声。彼の声が耳に届いた。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 太宰治 , 愛され   
作品ジャンル:アニメ
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氷翠(プロフ) - ゆんゆんさん» ありがとうございます!!はい!ちょっと今忙しくて、、余裕が出来たら更新します!気に入って頂けて嬉しいです!! (2019年7月8日 18時) (レス) id: 20ceb8a33c (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆん(プロフ) - 好きです!!ゆっくりでいいので頑張ってください! (2019年7月8日 14時) (レス) id: 924108a693 (このIDを非表示/違反報告)
氷翠(プロフ) - 美雲さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年7月7日 21時) (レス) id: 20ceb8a33c (このIDを非表示/違反報告)
美雲 - 続き楽しみにしてます。頑張ってください。 (2019年7月7日 20時) (レス) id: 0e776977f0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:氷翠 | 作成日時:2019年7月3日 21時

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