第13話 ページ14
初めて彼女の声を聞いた。
あまり話すことは無かったのだろうか、掠れて聞き取りずらい声だったが確かに言った。
捨てられるくらいなら、死んだほうがまし、だと。
そう言った彼女の表情はどこか泣きそうで、助けを求めている、そんな表情だった。
僕は彼女に近づき、膝をつく。
そして、ギュッと抱きしめた。
瞬間、彼女がビクリとしたのを感じ取り、ゆっくり、優しく撫でる。
『捨てられる』。それは僕も体験した。
親に捨てられ、独りだった。
彼女は不安なのだ。僕達に捨てられるのではないかと。
そんな彼女を安心させるように背中を撫でる。
「大丈夫...君を捨てたりなんかしない。僕も森さんに拾って貰ったんだ。だから、大丈夫だよ。」
すると、彼女が口をあけた。
「...わ...たし...へん...だか、ら...」
彼女は小さな声でそう言った。
へん?何処が...彼女はなにも変じゃない。
それを伝えた。
「へん?...君は変じゃないよ。」
そういうものの、彼女は首をふる。
「ちがっ........へん...だよ...、...声...きこえる...し、...ちがうもの...みちゃう......みんな、...きもち、わるい...って...へん...って」
彼女の声を聞き逃さないよう聞く。
それは、......もしかしたら...異能...だろうか?...
それに、彼女だけじゃない。
「大丈夫。...僕も......そうだから。...僕も...普通じゃない。」
そう、僕は他の子と違う。
...だれも...僕を理解してくれる人なんて...いない。...
少しだけ、彼女を抱きしめる力が強くなった。
ざわついた心を沈めるために、ふぅーと、息を吐いた。
彼女から少し離れ、もう一度、目を合わせた。
「大丈夫だよ。君に酷いことはしない。本当だ。......僕の事信じられないかい?」
そう言うと彼女は横に首をふる。
だけど、その表情はまだ、どこか不安げだった。
僕はもう一度抱きしめる。
「何も心配しなくていい。君は僕が守るよ。」
そう言って頭を撫でると、彼女はポロポロと涙を流しはじめた。
服が汚れる心配をしたのか、彼女が僕から離れようとする。
それをさせまいと強く抱きしめる。
「このままでいいよ。...たくさん泣きな」
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氷翠(プロフ) - ゆんゆんさん» ありがとうございます!!はい!ちょっと今忙しくて、、余裕が出来たら更新します!気に入って頂けて嬉しいです!! (2019年7月8日 18時) (レス) id: 20ceb8a33c (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆん(プロフ) - 好きです!!ゆっくりでいいので頑張ってください! (2019年7月8日 14時) (レス) id: 924108a693 (このIDを非表示/違反報告)
氷翠(プロフ) - 美雲さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年7月7日 21時) (レス) id: 20ceb8a33c (このIDを非表示/違反報告)
美雲 - 続き楽しみにしてます。頑張ってください。 (2019年7月7日 20時) (レス) id: 0e776977f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷翠 | 作成日時:2019年7月3日 21時