誘惑だらけ。

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.









ｺﾝｺﾝ
















｢入ってええよー｣









授業も中盤に差し掛かった頃、扉がノックされた。









宇野ちゃんかと思えば、顔を覗かせたのは可愛すぎるお手伝いさん。









『千晃！』





｢A、勉強頑張ってるねぇー｣





『うんっ』





｢そんなAに差し入れ｣









笑顔の千晃の手元には、紅茶のティーカップが3つとお洒落な洋菓子たちが。









｢宇野ちゃんがね、Aに持って行ってきてって｣





｢千晃も実彩子ちゃんも、俺のこと忘れてない？｣









そこに、不満そうな顔をした真司郎。









｢真ちゃん、拗ねないの｣





｢だって、ちあちゃん構ってくれへんもん｣





｢ごめんごめん。ほら、一緒に食べよう｣





『…あのー』









キラキラと輝く2人を前に、またある疑問が浮かび上がってくる。









思い切って、尋ねてみることにした。









.









『千晃と真司郎って…、付き合ってるの？』





｢ううん｣





｢付き合ってないで｣





『え！？』









照れることも戸惑うこともせず平然と答えた2人に、私の方が素っ頓狂な声をあげてしまう。









｢よく言われるけど、俺らそんなんちゃうくない？｣





｢ねー。ただの仲良し｣





｢それはなんか距離遠い｣





｢えー、じゃあ親友。いや、それは宇野ちゃんだ｣





｢俺らって何なんやろ｣





｢友達以上恋人未満？｣





｢それやな｣





『友達以上恋人未満…』









現実でもそんな関係ってあるんだ。









お互い美男美女なのに、惚れたりしないのだろうか。









千晃が私の隣に腰掛け、少しの休憩時間が始まった。

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