第五十九章 ページ9
その後も訓練という名の遊びは続いた。
最終的には結局三対一の構図になり、私達三人がゾムを狙う形となる。
最初はほとんど当たらなかったが、その内大分当たるようになり、ゾムもいい感じに濡れてきていた。
疲れもたまってきて、そろそろ終盤かな、と思い始めた時。
シッマが適当に撃った水が……畑に居たその人に当たった。
全員の動きが一瞬にしてピタリと止まる。
巻き添えをくらった彼は、ゆっくりとこちらに振り向く。
見えるは目元だけだが、だからこそその恐怖は大きかった。
シッマの小さい「やっべ」という声が聞こえる。私も同感だ。
「……何してんの」
「えっと……水遊び?」
遊びです。もう訓練でも何でもないよ。
それを聞いたひとらんは、鋭い目付きを一転させ、優しく細める。
……嫌な予感。
「丁度良かった。今から、畑に水やるところなんだ」
「「へ、へぇ〜」」
と、どこかへ歩いていくひとらん。
戻ってきた彼の手には……
「それありなんか!?」
「やばいやばい!!」
水を吐き出すホースが握られていた。
それをとても良い笑顔でこちらに向けて走ってくる姿はまさに鬼。
……その場は阿鼻叫喚となる。
・
なんやかんやで楽しんで、日も暮れ始める時刻。
お祭り騒ぎよろしく騒いだ私達は、唐突にその終わりを告げられる。
「へぇ、おもろそうなことしとるやん」
その言葉と共に子犬二匹の頭が鷲掴みされた。
サーっと血の気が引いていく二人の顔。
私もゾムもひとらんも……あ、と動きを止める。
水の流れる音だけが響く中、か細くシッマが口を開く。
「く、訓練……やで?」
「ほぉん、そう。別に怒ってへんよ?」
「ほ、ホンマ?」
「当たり前やんけ」
トントンのその返事に安心したようにシッマとシャオロンが笑う。
……しかし、未だ頭から手を離していないトントンは、言葉を続けた。
「……当たり前だよなぁ?仕事を終わらせた上でさらに訓練してるんやろ?そんなん怒られへんわ」
ピシッと顔が引きつったまま固まるのは主催者三人。
ひとらんは終わらせてるみたい。流石。
隣にいたゾムがゆっくり後ずさりする。……のもトントンは見逃さない。
「逃げたら仕事増やすぞ」
「「「……ハイ」」」
こうして水遊びは幕を下ろした。
『……っくしょん』
夏とは言え水浸しで夕暮れまで遊んでいると流石に冷える。
風邪ひかないといいな。
って、完全にフラグかな……これ。
私はそそくさと部屋に戻った。
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リノ(プロフ) - 綾波夜見（自宅パソコン）さん» コメントありがとうございます。イラつく女を書くのは個人的に楽しかったです(笑)ありがとうございます！！ (2017年9月29日 21時) (
レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
綾波夜見（自宅パソコン） - イラーナさんにものすごくイラつきました←そして、そんな女にプレゼントしている鬱先生にも← いつも楽しく読んでいます！！更新のほう、無理しない程度に頑張ってください！！応援してます！！ (2017年9月29日 18時) (レス) id: 624c95f6b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リノ | 作成日時：2017年9月6日 21時
