第九十六章 ページ46
＜何があったかは後で聞こう。ゾムの気持ちもわかる。だが＞
「いいやわかってへん!!」
＜……何が、Aに何があった＞
「……傷だらけや。今は気ぃ失っとる」
＜……＞
「そ、れと……ッ」
＜……あぁ＞
「…………目、潰されとる。もう、なんも見えてないッ」
＜……ッ＞
「なぁグルッペン、俺に殺させてぇや……この城に居るやつ全員ッ!!」
＜…………許可できない＞
「なんでやッ!!!!」
＜この戦争にはお前の力が無くても勝てる。それに、俺達の一番の目的はAの救出だ。一刻も早くAを本国に連れ帰り、手当をするのが優先だ＞
「……ッ」
＜悔しいのはお前だけじゃない。お前はAを連れ帰れ＞
「……」
＜……ゾム＞
「……わかった」
…………。
・
ゾムside
気を失ったAに自分が来ていたパーカーをかける。
そして横抱きをして立ち上がり、その場を後に。
既に始まっている戦争のお蔭か、城内に敵兵はほとんどいない。
こういうところで人的資源の差も出てくるのだ。
城の裏庭のようなところに二階から飛び降り、素早く近くの林の方向に走る。
1キロ程先の場所に待たせてある馬で、行きの時とは違い最短距離をまっすぐに進めば幾分かは早く戻れるはずだ。
馬に乗り、片手で手綱を、もう片手でAを支える。
少しの振動でもAの傷が痛んでしまうかもしれないから、しっかりと。
林の中は昼間だというのにどこか暗く感じる。
道なんてものはなく、なんとなく獣道が出来ている程度。
ところどころには根っこが飛び出していて馬が少しだけ高く飛ぶ。
前を見て。
早くしんぺい神のところに……!
「……!!」
と、突然後方から飛んできた矢を持っていたナイフでギリギリ防ぐ。
見晴らしの悪い視界の先から飛んできたのか。
撤退時に見つかるのはいつもの事だが、こういう時にこられると自然に舌打ちが出てしまう。
追手だ。
そう理解しても、今は撃退しようと思わない。
運良く撒くことが出来れば最良。
出来なくても、今は応戦している時間が惜しい。
そうやって悩まされていると、再び矢の音。
軽い音を立てて何かに刺さる……とわかった瞬間に大きく暴れ始める馬。
前に進む力そのまま体勢を崩してこけてしまい、俺は空中に放り出される形に。
視界の端に見えた後ろの木。
Aを離さないように抱きしめ、それに当たらないように背を向ける。
数秒もしない内に、強い衝撃と痛みが背中から全身へと伝わった。
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リノ(プロフ) - 綾波夜見（自宅パソコン）さん» コメントありがとうございます。イラつく女を書くのは個人的に楽しかったです(笑)ありがとうございます！！ (2017年9月29日 21時) (
レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
綾波夜見（自宅パソコン） - イラーナさんにものすごくイラつきました←そして、そんな女にプレゼントしている鬱先生にも← いつも楽しく読んでいます！！更新のほう、無理しない程度に頑張ってください！！応援してます！！ (2017年9月29日 18時) (レス) id: 624c95f6b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リノ | 作成日時：2017年9月6日 21時
