第九十一章 ページ41
No side
焦りによる疎かな判断は身を滅ぼす。
それを嫌な程知っているからこそ、彼らはどんなに時間が惜しい状況でも、正確で最善の答えを出そうとする。
グルッペンは普段の優しげな表情が嘘のように消えた彼に問う。
「オスマン。我々と交易関係にある国家で怪しい国はあるか」
事の元凶はおそらくルンズェだろう。
しかし、おそらくではダメなのだ。
間違った国に戦争を仕掛けて、間違えましたは通じない。
そうなった方が、より彼女の救出が遅れるだろう。
だから慎重にならざるを得ない。
「ない。Aちゃんの存在はほぼ確実に知らない筈やから、攫うとすれば、理由は俺達を良く思っていないから。やけど、どの国家も友好的な関係を続けてる」
「こちらの戦力を知った上でそれに対抗し得る力を持っているのなら話は別か」
「でもそれはあり得んな。俺達と同等の力を持っとるのは他に二か国。どちらとも不可侵を結び交流も無かった」
「ほんなら相手は相当無謀な行動を起こす馬鹿ってことやんな」
国家間の情報を管理するトントンの手元にも目ぼしい力を持つ国の情報はない。
つまりはコネシマの言う通り、捨て身の行動に近かった。
だが何にせよ、潰すのだ。
「見つけた」
突然全員のインカムに入った声。
時間にして約五分。
ロボロは見つけ出した情報の報告を始める。
一年程前から城下町の大通り付近で果実屋を営む男女。
料理長の使いで負傷した使用人が何度か利用していたことからAと接点がある可能性は極めて高い。
身元を調べた結果、男女はどちらもルンズェの潜入部隊であることが判明。
グルッペンはその報告を聞いて残っている幹部に命令を下す。
「大先生は直ちに例の店へ行け。護衛も何人か連れていって構わん。ロボロ、城内の全ての部隊を起こせ。指揮官は別室に集めろ。コネシマは今次戦争の目的等を集まった指揮官たちに説明。シャオロンとひとらんは武器庫に向かいそこにいる兵士と共に武器の確認を。オスマンは周辺国家及び交易国にこのことを知らせておけ」
誰も異論を唱えない。
彼の判断が正しいと確信し、信じて疑わないから。
「行動を開始せよ」
その一言に各自は一度の敬礼を返し、己に与えられた命令に従い行動する。
「ゾム」
頃合いを見計らいその名を呼ぶと天井から現れる彼。
その身には幾つもの武器を付けているのに一切音を発しない。
「敵国に潜入し、Aを救出しろ」
戦闘狂は再び姿を消した。
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リノ(プロフ) - 綾波夜見（自宅パソコン）さん» コメントありがとうございます。イラつく女を書くのは個人的に楽しかったです(笑)ありがとうございます！！ (2017年9月29日 21時) (
レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
綾波夜見（自宅パソコン） - イラーナさんにものすごくイラつきました←そして、そんな女にプレゼントしている鬱先生にも← いつも楽しく読んでいます！！更新のほう、無理しない程度に頑張ってください！！応援してます！！ (2017年9月29日 18時) (レス) id: 624c95f6b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リノ | 作成日時：2017年9月6日 21時
