第八十六章 ページ36
『1人って珍しいですね』
「2人とも酷いんですよー! 自分達だけ逃げて!」
頬を膨らませて愚痴るショートボブさん。
でも本気で怒っているわけでは無さそうなので心配する事はないだろう。
『……あの』
私はおもむろに口を開いた。
いつも前向きな彼女ならどう答えるのか、少し気になって。
『もし、大切な人達に監視されていて……それを秘密にされていたら、どう思いますか』
こういう相談の時に遠回しの例えが不適切なのはわかってる。
でも、もしもの話にしておきたかった。
彼女は少しも迷う事なく、こう答える。
「なんとも思わないですよ?」
以外な答えだった。
嫌だとか悲しいだとかそういうのを言うと思っていたわけではないけど……。
「だって、きっとそれは自分の為にしてくれていた事なんですよね。それまで何事も無ければの話ですが。なら、いいじゃないですか」
『隠されていたとしても?』
「親が子供の知らないところで見守ってくれているのと同じですよ。あくまで私個人の意見ですけどね!」
そしてジュゴーっとストローでドリンクを吸う。
一つひとつの行動が幼いが、これで私よりもちょっぴり背が高くて歳が上なんだから不思議に思えてしまった。
だけど、そんな彼女だからこそ元気づけられる。
・
休息も終わり、そろそろいい時間になりかけた時、ふと思い出したようにショートボブさんが話し出す。
「帰る前にいいですか?」
『はい。でも何処に?』
「果実屋です!数日前に新しく仕入れたからって手紙が届いて、料理長も楽しみにしてましたし!!」
彼女は多分、料理長がどんな新作を作ってくれるのかも楽しみなんだろうけど、それと同じくらい果実屋の二人に会うのを楽しみにしているのだろう。
鼻歌を歌いそうな感じ。
「こんにちはー!」
果実屋の扉を開けると女性がいた。
もう今日は店を閉めるのか、既に施錠を始めている。
「あれ、今日はもう閉めるんですか?」
「ええ。でも丁度良かった」
女性が嬉しそうに微笑む。
そして奥から男性が顔を覗かせ、ショートボブさんを呼んだ。
果物をこちらに持ってこないのは保管が難しいからかな。
「A様」
女性が何気なく声をかけてきた。
「幹部の皆様の事、どう思いで?」
『……大切な人達、です。私は、彼らの役に立ちたくて……』
私の言葉に数回頷く女性。綺麗な髪がふわふわ揺れた。
そして。
「無理ですよ」
『…………え?』
店の奥で大きな物音が響いた。
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リノ(プロフ) - 綾波夜見（自宅パソコン）さん» コメントありがとうございます。イラつく女を書くのは個人的に楽しかったです(笑)ありがとうございます！！ (2017年9月29日 21時) (
レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
綾波夜見（自宅パソコン） - イラーナさんにものすごくイラつきました←そして、そんな女にプレゼントしている鬱先生にも← いつも楽しく読んでいます！！更新のほう、無理しない程度に頑張ってください！！応援してます！！ (2017年9月29日 18時) (レス) id: 624c95f6b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リノ | 作成日時：2017年9月6日 21時
