第八十五章 ページ35
城下町に行く前にロボロのところにインカムを届けに行くと、彼は改まって頭を下げた。
私だって悪いところはあったんだから気にしないで、と言うと困ったような笑顔。
そしてインカムを申し訳なさそうに受け取った。
城下町はいつも通り。
何度来ても変わらない雰囲気は心を落ち着かせてくれた。
誰も私を見ていないと思えばとても気が楽になる。
目的も無く歩き回り、どこからか鐘の音が響き始めた頃。
聞きなれた声が私の名前を呼んだ。
「あれ、A様じゃないですか!どうしてここに?」
高く大きい、でも素敵なこの声はショートボブさん。
両腕に大量の食材が入った紙袋を抱えている。
『気分転換に少し。あ、ひとつ持ちますよ』
「わ、ありがとうございます!」
『お仕事ですか?』
「そうなんですよー!料理長ったら、また新作を作るって言ってて、その材料の買い出しを頼まれたんです!」
その話を聞きながら紙袋を受け取ると、かなりの重さがあった。
これを二つ、抱えていたのかと思うと凄い。
ショートボブさんは少し不満そうな表情。
嫌々の仕事なのか。でも料理長の新作はとっても楽しみ。
「A様、お時間がありましたらお茶でもどうですか?」
『私は構いませんよ』
むしろ心配なのは仕事を任されている彼女の方だろう。
でも日が暮れる前に戻れば問題ないらしい。
だから私もショートボブさんと一緒のタイミングで戻ろうと思った。
ショートボブさんはぶらぶら歩きながらおすすめの場所なんかを教えてくれる。
頼りになるガイドみたい。
「あ、あれ、最近人気のフローズンドリンクですよ!私が買ってきますから、このベンチで待っててください!!」
余程好きなのか、気になるのか、彼女はベンチに自分の持っていた荷物を置くと私の返事も聞かず一目散にお店の方へ走って行った。
残された私はベンチに置かれた荷物のとなりに腰を下ろす。
こうして少し道から外れたところから見る街並みは視点が変わって新鮮に感じられた。
道行く人たちが歩いている時よりよく見える。
「お待たせしました!ストロベリーで良かったですか?」
たったったっと近づいてきた足音に視線を向けると２つのカップを持ったショートボブさんが不安げに聞いてきた。
メニューを聞かずに行ってしまい、取りあえず一番人気のものを買ってきたらしい。
どうせ詳しくメニューは知らなかったから彼女に任せるつもりだった。
私は一言お礼を言って受け取る。
手にひんやりと冷たさが伝わった。
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リノ(プロフ) - 綾波夜見（自宅パソコン）さん» コメントありがとうございます。イラつく女を書くのは個人的に楽しかったです(笑)ありがとうございます！！ (2017年9月29日 21時) (
レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
綾波夜見（自宅パソコン） - イラーナさんにものすごくイラつきました←そして、そんな女にプレゼントしている鬱先生にも← いつも楽しく読んでいます！！更新のほう、無理しない程度に頑張ってください！！応援してます！！ (2017年9月29日 18時) (レス) id: 624c95f6b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リノ | 作成日時：2017年9月6日 21時
