第八十四章 ページ34
彼は私から連絡が来たことにとても驚いているみたい。
無理もないよね。
今の状況で、普段かけてこない相手からの通信だもん。
＜……どうしたの?＞
『ちょっとお話ししたくて』
＜……俺と?＞
『何かあったら一番に知らせるって、言ったから。……少し違うけど』
彼は忘れているだろうか。
そう尋ねると憶えてると答えてくれた。
でも、このタイミングでは絶対にないと思ってたみたい。
私はなるべく普段通りを装って言葉を紡いでいく。
talking：インカム通話
『ロボロはさ、昨日のあの女の人、イナーラさん……だっけ。あの人の話、どう思った?』
＜どう……正直、あんまり信じれない＞
『どうして?』
＜……それは＞
『私がそういう人物に思えないから、とか?』
＜……＞
『嬉しいなぁ……。うん、ありがと』
＜……Aちゃん、あの話って＞
『うん、半分以上ホントの話』
＜半分以上……＞
『そう。私が両国から声を掛けられていたこと、私が原因で戦争になったことは真実』
『でも、ひとつだけ。私は決して強い方に行くなんて言ってない。これだけは違うの。……信じて』
＜大丈夫、信じるよ。今の俺に出来るのはそれだけだから＞
『……ありがとう』
＜うん＞
『お蔭で少し楽になった。だから、もう少しだけそっとしておいて』
＜それを拒否する資格は俺にはないよ。Aちゃんの好きにすればいい。グルッペンもわかってくれる筈だから＞
『……そっか。うん。ちょっと外を歩いて来ようと思うの』
＜うん＞
『インカムは……』
＜つけなくていいよ。じゃないと気分転換にならんやろ?＞
『そう……だね』
＜あ、あと行く前にインカムを俺のとこに持ってきてくれん?＞
『……わかった』
＜うん、じゃあまた後で＞
『また後で』
・
通話を切って耳からそっと離す。
彼の声の余韻が微かに残っているから、静かな空気が寂しく思えた。
街を見て歩いて、遅くならないうちに帰って、そしたらみんなに謝ろう。
大丈夫。
まだ戻れるよ。
まだ失ってないよ。
これは必要な過程なの。
平穏を過ごす為に必要な、要素。
心配なんて、何もいらない。
私はもう、昔のままではないのだから。
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リノ(プロフ) - 綾波夜見（自宅パソコン）さん» コメントありがとうございます。イラつく女を書くのは個人的に楽しかったです(笑)ありがとうございます！！ (2017年9月29日 21時) (
レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
綾波夜見（自宅パソコン） - イラーナさんにものすごくイラつきました←そして、そんな女にプレゼントしている鬱先生にも← いつも楽しく読んでいます！！更新のほう、無理しない程度に頑張ってください！！応援してます！！ (2017年9月29日 18時) (レス) id: 624c95f6b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リノ | 作成日時：2017年9月6日 21時
