第八十三章 ページ33
その日、パーティーで疲れているはずなのに、私は眠れなかった。
眠れないまま、ただ布団を被って。
寒いわけでもなく、体を震わせて。
朝が来るのを待っていた。
何時かわからないけど途中ドアをノックする音が聞こえた。
その丁寧な二回のノックには聞き覚えがある。
私は何も反応しなかった。……仕事手伝えなくてごめんなさい。
朝が来ても、私は動けずにいた。
行かないといけない。
わかってはいても、私の中の何かがそうさせてはくれなかった。
……いや、こんなの言い訳だな。
いっそ合せる顔が無いって塞ぎこめばいいの?
こんなに悩んだのなんて初めてだ……。
わかってる。
私の考えすぎ、思いすぎだってことは。
わからない。
今まで、私はどんな顔でみんなと接していたの。
…………。
「……A」
位置的に天井から声が聞こえた。
やっぱりドアから入ってきてくれない。
「俺たちはAのこと疑ってないんや。……信じてほしい」
信じてるよ。最初から、ずっと。
今だって変わってない。私はみんなを疑ってるわけじゃないの。
「……心配してたからなんや」
うん。知ってるよ。みんなはいつも私を心配してくれてた。
優しいから。だから今も、ここに来たんでしょ?
何も返さない私を、彼はどう思ってるのだろう。
その後、彼は何かを言いかけては言いよどみ、結局やめてしまう、というのを繰り返していた。
そして、ようやく彼は言葉にする。
それが本当に伝えたかったことかは、わからないけど。
「言いたかったのは、それだけ」
呟いたその後は、もう何も聞こえなくなった。
・
身体を起こしたのは、昼頃だった。
空は雲が多めのあやふやな天気。
しばらくぼうっと眺めて、私はふと机の上に置かれたインカムを見た。
最初渡された時、私専用って言ってもらえて、すごく嬉しかったのを憶えてる。
今思えば、そういう意味の特別、だったんだ。
手に取って改めて見るが、発信器らしきものは当然見当たらない。
そう言えば、あんまり使ってなかったな。
突然あの日の約束を思い出した私はインカムを耳に取り付ける。
繋げるのは、あの人。
数秒の間を置いて、インカムに雑音が混じった。
それは無事に繋がったことを示す。
『……聞こえる?』
なんて言っていいかわからず、控えめに呟いた。
向こうから驚いたような息遣いが聞こえる。
＜……Aちゃん?＞
困惑し、どもったロボロの声がインカムに響いた。
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リノ(プロフ) - 綾波夜見（自宅パソコン）さん» コメントありがとうございます。イラつく女を書くのは個人的に楽しかったです(笑)ありがとうございます！！ (2017年9月29日 21時) (
レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
綾波夜見（自宅パソコン） - イラーナさんにものすごくイラつきました←そして、そんな女にプレゼントしている鬱先生にも← いつも楽しく読んでいます！！更新のほう、無理しない程度に頑張ってください！！応援してます！！ (2017年9月29日 18時) (レス) id: 624c95f6b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リノ | 作成日時：2017年9月6日 21時
