第八十章 ページ30
No side
楽し気なパーティー会場で人知れず険悪な雰囲気を作っている。
それは前触れもなく突然と突きつけられた、真実か嘘かわからない話。
話し出した張本人である女は妖艶というよりは嫌いな相手を突き落とそうとする女の意地汚い表情で、言葉を紡いでいく。
「散々踊らされた挙句、それまでの全てを否定されたのよ。可哀想でしょ?大人しそうな顔して、とんだ悪女ね。当然ルンズェとラギアは怒ったわ」
残り三分の一程まで減ったシャンパン。
グラスを指先だけでくるくると回す女は蔑むような眼でAを見下した。
「両国はガダラ村を消滅させることを、その女への復讐にしようと考えた。で、武力なんてあるわけない村を消滅させたわけだけど……逃げも隠れもしないその女を捕まえた時、なんて言ったと思う?」
フッと笑顔を消した女。その変わり様は彼らに少なからずの恐怖を与えた。
「私の考えは変わりません、ですって。何十何百の人が死んだのに顔色一つ変えずに言い放ったそうよ。その後、その女は逃げて身を隠したみたいだったけど」
これで話は終わり、とでもいう風にシャンパンを飲み干す。
そしてその冷たい目線はずっと黙ったままのAに向けられる。
Aは俯いており表情が見えないが、ショックを受けているように見える様子は女を満足させるものだった。
「せっかく隠してただろうに、ごめんなさいね。わたくしお喋りだから」
ゾムを避けながら女はAに近寄る。
その行動は完全に勝者のもの。実際、女はそう確信しているのだろう。
だから余裕の笑みを崩さない。
しかし。
Aは何も感じてはいなかった。
『そうですか。無口な私より貴女みたいな人がやっぱり社交というのは向いてますね』
そう、笑顔で言ってのける彼女は些か不気味に感じられる。
嘘だったとしてもここまで言われれば誰しも怒るなり落ち込むなりするはずだ。
この反応が異常であるから……女は一歩怯むことになる。
「あ、貴女、バラされたくないことじゃないの……?」
『ええ、まぁ。それを良しとする人はいないでしょう。でも』
Aはまっすぐに女を見つめた。
そこには悪意など一切なく、ただ話をしているだけの純粋な気持ちの表れ。
『作り話に対して、どうして落ち込む必要があるのでしょう?』
はっきりと、微笑みも交えながらAは告げた。
。・＊・。
あ、今更ですけどシリアス入りました。
それまでのところスランプ気味でつまらなかったと思います；
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リノ(プロフ) - 綾波夜見（自宅パソコン）さん» コメントありがとうございます。イラつく女を書くのは個人的に楽しかったです(笑)ありがとうございます！！ (2017年9月29日 21時) (
レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
綾波夜見（自宅パソコン） - イラーナさんにものすごくイラつきました←そして、そんな女にプレゼントしている鬱先生にも← いつも楽しく読んでいます！！更新のほう、無理しない程度に頑張ってください！！応援してます！！ (2017年9月29日 18時) (レス) id: 624c95f6b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リノ | 作成日時：2017年9月6日 21時
