第七十八章 ページ28
去年同様、会場は人で溢れ返っていた。
城下町とは違い、会場が広いからかスペースにゆとりがあり、音楽が流れている中に話声が聞こえ、ある意味の賑やかさが広がっている。
グルッペンのエスコートで会場に入った私を幾人かの参加者が見てきた。
下がりそうになる顔を何とか下げないように維持して進む。
会場内を歩き、少ししてグルッペンが止まった。
「俺は挨拶してくるから、あとは自由にしていいぞ」
『う、うん。わかった』
「じゃあ、A行こか」
後ろにいたゾムがすかさず声をかけてくる。
そして去年と同じように人の少ない橋の方へ誘導してくれた。
ひとつ、去年と違うのは……
「めんどくさいなぁ」
「コネシマお前毎年飯食っとるだけやんけ」
「いや違うねシャオロン。一番食っとるのはロボロや」
「そんなに食べてへんよ」
「じゃあその手に持っとる盛り盛りの皿はなんや」
「前菜」
「うせやろ!?」
ゾムの他に三人、一緒に居ることだろう。
去年は全然見かけなかったから何してるのかと思ったら……食べてたんだ。
『ゾムは食べないの?』
「俺、料理長の作った飯が好きやねん。あんまり他の食べたくない」
『あぁ、確かに言われてみれば……わかるなぁ』
料理長は我々国を支えている大きな柱と言っても過言ではない。
確かにパーティーの料理も美味しそうだけどね。
そのまま時間は流れ、パーティーは順調に進んでいく。
様々な催し物が行われ、はしゃぐ、という事はないが参加者は楽しそうだった。
中盤を少し過ぎたあたりだろうか。
大先生が合流してきた。
「みなさんそろってますやん」
どこか疲れたような様子の大先生。
聞くと、各国の女性達の挨拶回りをしてきたらしい。
ちなみにトントンはグルッペンの付き添い。
オスマンは外交官として各国とお話。
ひとらんは祖国の人と話しているらしい。
忙しい人は忙しいんだな、と思いながら会場を見渡した時だった。
「鬱さん、こちらにいらっしゃったんですね」
その声に視線を向けると綺麗な女の人。
金色の髪は美しくまとめ上げられ、首筋が色気を漂わせていた。
大先生に近寄り、腕を絡ませる。大先生に好意を寄せているのは一目瞭然。
でも大先生は顔を引きつらせている。珍しい。
と、女の人が私に目を向ける。
「あら、その瞳……貴女、あの少女?」
「知ってるんですか?」
「ええ、鬱さん。この女は……」
「＿＿昔、自らの故郷の村を崩壊に導いた、悪魔の女ですわ」
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リノ(プロフ) - 綾波夜見（自宅パソコン）さん» コメントありがとうございます。イラつく女を書くのは個人的に楽しかったです(笑)ありがとうございます！！ (2017年9月29日 21時) (
レス) id: 02182e081c (このIDを非表示/違反報告)
綾波夜見（自宅パソコン） - イラーナさんにものすごくイラつきました←そして、そんな女にプレゼントしている鬱先生にも← いつも楽しく読んでいます！！更新のほう、無理しない程度に頑張ってください！！応援してます！！ (2017年9月29日 18時) (レス) id: 624c95f6b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リノ | 作成日時：2017年9月6日 21時
