椿の花言葉って「謙虚な美徳」らしいから控えめに生きてくわ。【QK】 (ページ7)

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「やったねといちゃん、女子が増えるよ」
「素直に喜べないんだよなぁ～～～～～」

んあ～～～～と声にならない声を発して机に項垂れる。
いや確かに、確かに女子は増えてる。人外だけど。私の願いは叶ってる、部分的には。
でもあんまり喜べないんだよなぁ…。
チラッと向こう側に視線を向けると、瞳孔をキュッと細めた笑顔でこちらを見下ろす彼女がいた。普段では絶対にないであろう口角の角度で、それがいやに美しく、また恐ろしく感じた。
いやだって拓哉くんただでさえ陰影あって綺麗な顔してるんだからさ、ちゃんとしたライティングで見ちゃうとただの神でしかないんだってば。
待ってこれ中身本物の神だったりする？姦姦蛇螺って最終的には崇められてるし、奉られてるんだから神なのでは？そういう解釈でいいか？

「名実ともに神であらせられたのか…」
「下級も下級だぜ？」
『よいよい、好きなだけ崇めろ』

勝ち誇ったように頷く彼女の横でその彼女の頭を小突く椿くん。
怪異が相手でもそのテンションなんだな。彼女の方も分かっているかのようにさっきよりもちょっと幼く微笑んでいる。椿くんの前では誰もが幼くなる魔法でもかかっているのだろうか。
暫くそのじゃれあいを眺めていると、椿くんに頭を撫でられた彼女がフッと瞼を伏せた瞬間、纏う空気が変わった。

「ちょっと兄ぃ髪崩れるから」
「はいはい、知ってる」
「拓哉くんじゃん」

帰ってきてるね～。私の声にだからなんだというような視線を寄越す拓哉くん。
不機嫌なのまだ治ってないんですかね。貴方眼鏡しないと目つき鋭いんだから気ぃ使ってよねほんともう。
貴方がお兄さん大好きなのは分かったから、取らないよ別に。

「確かにこれは最終手段だわ」

私を振り返り、最初と同じ困った顔で笑う2人。
生まれも何もかも違うのに、そういう些細な表情ばかりそっくりで思わず笑ってしまった。それにまた眉を顰めて突っかかってくる拓哉くん。それを控えめに宥める椿くんもいて。
こういうところはまだまだ可愛いお子ちゃまなんだなぁ。

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