椿の花言葉って「謙虚な美徳」らしいから控えめに生きてくわ。【QK】 (ページ6)

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「え、なにそれ」

彼の瞳は到底人間ではありあえないものになっていた。まずアニメでしか見ないような明るくそこだけ光っているような黄金色で、瞳孔も丸ではなく縦に鋭く尖っている。
宛ら蛇の様であった。この一瞬でカラーコンタクトを入れたわけなどないだろうから、彼自身の瞳が変化したということに他ならない。
一体どういうことだろうか。
混乱で固まる私を余所に、拓哉くんは優雅に微笑みながら続ける。

『なんだ、お前が云うたのだろう？私は女子ぞ？』
「急なんだよお前はいつも」
『この方が手っ取り早かろう』
「はいはい合理性な、ったく」

抱えていた頭を更に重たそうに支え、拓哉くん？に向かう椿くん。
余りに普段の拓哉くんと違いすぎて余計混乱してきた。顔や声は普段と変わりないのに雰囲気やら口調がまったく違う。まるで別人ではないか。
しかも何、女って言った？あの人女なの？
もう一から百までわからない。椿くんも普段より対応が雑な気がするし。
もう一度彼を見てみても、その異様な瞳はそのままだったし椿くんの対応も変わっていなかった。

「え、待って、待ってね。その人誰？」
『知らぬ方がよいこともあるぞ小娘』
「口悪くないか？拓哉くんそんなんじゃないでしょ」

私の発言に小さく息を漏らしまた笑みを濃くする彼女(？)。こいつ鼻で笑いやがったぞ。
しかも雰囲気があり過ぎてなんか茶化しずらいことこの上ないし。まず何物なのか位名乗って欲しいけど。
私の据わった視線に気付いたのか、椿くんが簡単に説明をしてくれた。

「あー、こいつ姦姦蛇螺。拓哉が10歳の時から憑いてるから。古参面してるけど」
『鴻蛇と申す。坊やに害意がないのであらば構わんよ』
「……………かんかんだら？……って洒落怖の？マジ？」
「マジマジ」
『蛇巫女じゃぞ～』

そう笑顔で両手を振る彼女(？)。案外ノリがいいんだな。って違うじゃん。
拓哉くんの顔で脳がバグるようなこと言わないでもらっていいかな。
私は机に肘を付いて前髪をかき上げる様に頭を抱えた。今度はこっちが悩む番になるとは。いやだってこんなことになるなんて思わないじゃん。いくら事前に椿くんは霊能者ですって聞いていたってさ。
あ～～でも拓哉くんはその幼馴染ってことは少なからずそれに触れてきたってことだもんな～～～。可能性は0じゃなかった。確かに。それは私の予測能力不足だわ。
いや予測可能回避不可能問題ではあるけど。うん。

・→←解合