椿の花言葉って「謙虚な美徳」らしいから控えめに生きてくわ。【QK】 (ページ27)

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隣で河村は呑気に写真を撮って「あーやっぱ写んないな」とか時刻表と時計を見比べて「狂ってる～ｗ」だのちょっと楽天的が過ぎる行動に出ている。ハートが強いのかイカれているのか。もう麻痺しちゃってるんだろうな、ここまでくると。

「さて、では線路を引き返すか列車を待つか選ばなきゃならない訳ですが」
「それ何が変わるの？」
「ホラーＲＰＧか脱出系ホラーを選べます」
「ホラーから逃れられる選択肢をください…」
「もうこの現状がホラーよ」

そんな元も子もない。「あ゛ぁ～」と頭を抱えて座り込む俺に何とも言えない顔をしてからまた駅看板や電子掲示板をカメラに写したり、路線図を見て感心していたりする彼。
探求心があるのは良いことだけど耐性が付きすぎてるよもう。

「ちゃんと次かたすだ、わーすごーい！」
「喜んでないで帰り道探しましょうよ」
「はぁい」

何とも気の抜けた返事をして顔を上げる河村。ところでどんな脱出方法を取るつもりだろうか。まぁどっちに転んでもホラー展開になるのは避けられないらしいし。
またあまり俺の方を気にしていない様子の彼は、そのままスタスタと階段を降り改札に向かう。その後をのんびりついて行くと、もうほとんど機能していない寂れた改札の向こう側で何やらしゃがんで作業をしていた。
近くまで行ってみると、改札の電源を探しているようだった。生憎近くの街灯ですら碌に見当たらない所をみると探すのに時間がかかりそうだ。
すぐ横の駅員室を覗いてみたが人の気配は無く、小さな豆電球が点いているだけである。
ふと開いた窓の側を見てみると、その近くにある備え付けのテーブル？みたいな所に古びた鋏が置いてあった。河村を呼びつけてそれを指して教えると、「ナイスガイナイスゥ！」と芝居がかった高い声で背中をバシバシと叩かれる。痛いです。
その鋏を持ち数回握ると、余りにも錆びついていたのかギギギっと音を立ててゆっくり剥がれ落ちる塗装。河村の手にも剥がれた塗装がついてパラパラと床に落ちた。

「それ使ってどうするの？」
「帰るよ」
「だからどうやって？？？」
「切符切るの」

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