椿の花言葉って「謙虚な美徳」らしいから控えめに生きてくわ。【QK】 (ページ13)

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「……おわった？」
「おわり」

それだけ言って今度は串を手に取って見た目通りの大口で焼き鳥を頬張る。所作から何からかっこいいかよ。こいつ俺より年下なのにな。
片肘を付きながら先程まで握っていた右手を流し目で眺めている彼は相変わらず彫刻の様な美しさである。背景がやっすい居酒屋のお品書きがぶら下がった壁であってもその美は遺憾なく発揮されるらしい。そりゃあ河村も川上も椿厨になるわけである。
こりゃあかっこいいわ。流石のナイスガイも感服致す。
その顔を肴に手元のジョッキが温くなる前に飲み干す。5割増しで美味い気がするな。
そのまま暫く食事に舌鼓を打っていると、椿が何かを思い出した様に「あっ」と声を上げ、鞄を漁り始めた。さて何が出てくるやらとその動向を見守っていると、お目当ての物を見つけたのか鞄から手を放してこちらに振り返る。
その手には小さな袋のような物が握られていた。

「なぁにそれ？」
「ナイスガイに贈呈します」
「くれんの？」
「気休めだけどないよりマシじゃん？」

そう言って幾何学模様の施された赤いお守りを差し出して来る椿。何とも俺っぽいチョイスの模様である。ていうかこんな柄のお守りとかあるんだ。
俺は素直にお守りを受け取り、その中心に刺繍された文字を読む。その文字列をなぞり、意味を理解してから腹を抱えた。

「あｗ悪霊、退散はないだろｗｗ流石にｗｗ」
「単純明快でいいかな～って」
「にしたってｗ安直が過ぎるｗｗ」

ヒイヒイ言いながらお守りを持って笑い転げる。酒が入って普段よりハードルが下がっている分無駄に面白く感じる。だって魔除けのお守りに悪霊退散って…。
そのまんま過ぎて草なのよ。あー腹痛くなってきた。
そういえば案外物ぐさなところあったのよね、椿って。大らかと言えば聞こえはいいけど実際だらけてるだけだったりしてね。まぁそれも彼の魅力の一つなんですけど。

「ありがとね、大事にするわ」
「へいへい、なくすなよ」
「分かってます～」

こいつホントに俺より年下か～？

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