椿の花言葉って「謙虚な美徳」らしいから控えめに生きてくわ。【QK】 (ページ12)

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「面倒なら祓っとく？」
「出来んの？」
「モチ」

ん～、確かに多少の辱めは受けたけども別に存在が消えて欲しいとまでは思ってないしなぁ。祓うってそう言うことだもんね。じゃあどうしようかな。
正直化け狐ってもっと悪？というか何、巨悪？とんでもない悪事を働く大妖怪みたいな印象あったんだよな。あ、それ九尾か？いやまぁ狐に変わりはないんだけど。
今回もなにかまずいものだったらヤバいから視てもらおうと思っただけだし。
そこに命の危険がないなら現状維持でもいいのかなぁ。

「因みにエスカレートすっと喰われる」
「祓っちゃいましょう！」
「承知～」

前言撤回である。めちゃくちゃ生命の危機だった。
曰く小さいいたずらで満足している内はまだ良くて、段々とそれだけでは満足出来なくなってきて最終的には食べられてしまうのだそう。
やっぱり極悪妖怪じゃないか。人間食べるなんてのは悪行ですよ。悪しき行いです。
ジョッキを机に置いてその大きな右手を俺の顔のすぐ横辺りに持ってくる椿。
その辺にいんのかなとなんとはなしに考えると、急にその手を握りしめる。そして決して人間の握力から聞こえてはいけないであろう音がした。ﾒｼｬァだかｸﾞｼｬｧだか何かを潰すような音とゴリゴリと骨同士が摺り合わさるような不快な音だった。
え、狐素手で握りつぶした？ベンチプレスした？
もちろん俺には姿など見えないし、視ようとも思わないがもし見えていたらとんでもないグロ画像だっただろう。
河村っていつもこんなの見て育ってきたの？強すぎん？
今はいない同僚に思いを馳せながらただ時間が過ぎるのを待つ。
そのまま少しの間ガリゴリと響く不協和音を震えながら聞いていたが、その音が止むと彼は顔のすぐ横にあった手を引っ込めて塵を払うようにふっと息を吹きかけた。
俺には何も見えなかったが、おそらく狐とやらをそうして祓ったのだろうと思う。多分だけど。

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