検索窓
今日:3 hit、昨日:10 hit、合計:9,838 hit

チャペル(ko-chan+α) ページ27

「あ〜〜〜〜〜〜推せる〜〜〜〜」

目の前で着飾る女をべた褒めする旭。いや、褒めるにしては少々息が荒いが。
シックな十九世紀風の黒いウェディングドレスに身を包んで佇む彼女。褒められて少し戸惑った様子で笑っていた。何を隠そう今日は渡辺夫婦の撮影会である。
互いの了解で式は上げないらしく、その代わりにフォトウェディングをするというので教会に来ている。何でも字樋さんの友人が乾の彼女でウェディングプランナーらしく、その伝手で今回の撮影が決まったらしい。
そして何故無関係の俺がここにいるのか、だが。

「といちゃん先生最高に推せるわが生涯に一片の悔いなし(永眠)」
「まだ撮影も始まってないじゃん」
「始まったら呼吸できなくなるやろが!!」

俺の従妹である旭が字樋さんガチ勢だからである。
本人から撮影会があると聞き、自費で参加すると押し切ったらしい。こういう時のオタクの行動力は舐めてはならない。一人で推しの晴れ姿を見るのは精神的にキツイらしく何故か俺まで連れ出された次第である。なんでや彼氏連れて来いよ。まぁ、鶴崎は俺より忙しいししょうがないところもあるが。
今回の主役であるはずのこうちゃんとぎゃいぎゃい言い合いを続ける旭。お互いに自覚があるのか?ここは教会でお前は野次馬でこうちゃんは新郎である。立場をわきまえろよ。

「まぁまぁお二人とも、折角のドレス姿ですし堪能してからでも」

控えめに場を制して声をかけてきたのが今回の撮影会を進行する乾の彼女、井倉さんである。
彼女も流石乾と付き合っているだけあって、俺と乾に負けない奇抜な髪色をしている。因みに乾も彼女にくっついてさり気なく参加している。つまり今この場には赤、緑、青、紫の髪色が存在していることになる。ラノベの一場面か?
井倉さんの誘導により2人も大人しくなり、そのままつつがなく撮影が始まる。
こうちゃんはいつもよりキマったタキシード姿だし、字樋さんの顔にはまだヴェールが掛かっていて素顔が見えない。それでもこういった場所で純白ではなく漆黒を選ぶ辺り流石である。その名に恥じないセンスだと思う。
2人が祭壇に上がって向き合うと、こうちゃんがそのヴェールを持ち上げる。

「…きれい」
「……めっちゃ美人だ」
「……ヴァッ!」
「おい今いい雰囲気だっただろうが!」

こうちゃんに吠えられて「だってむりー!心臓持たなーい!!」と泣き出す旭。それを見て笑う乾カップル。

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (9 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
21人がお気に入り
設定タグ:qk , quizknock , 短編
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:眞宮 | 作成日時:2022年9月7日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。