ピアス（trsk） ページ23
なんだか今日は今朝から旭ちゃんの機嫌が良い気がする。いつものように在宅でPCに向かって作業をしているが、時折鼻歌が聞こえてきたり、リズムに乗って身体を揺らしていたり。
僕の位置からは後姿しか見えないが、何やら楽し気なのは間違いない。
仕事が順調なのか良いことがあったのかは分からないが、少し疑問が残る。
普段はそこまで感情を表に出さない彼女であるが、今日のこの様子から見るに余程の事があったのだろうか？考えてみると段々気になってきた。
僕は手にしていたスマホをテーブルに放り、旭ちゃんの後姿へ問いかける。
「ねぇ、今日なんかいいことあった？」
「ん〜？」
「ご機嫌だなって」
「あーわかる？」
「わかるわかる」と適当に同意して彼女の続く言葉に耳を傾ける。
細かいことをあーだこーだ言っているがその過程は重要ではない。「三行で」僕が短く告げると旭ちゃんは観念したように作業を止め、後ろを振り返った。
「大した事やないよ」
「いいじゃん聞かせて」
言いながら振り返った彼女の側まで行き、ソファの背もたれに肘をかけるようにしてさり気なく逃げ道を塞ぐ。そんな僕から逃げる様に身体を捻る旭ちゃん。もちろん僕はその肩に手を添えられるので容易には逃げられない。
流石にそれに観念したのか、顔を背けたまま続ける。
「……ピアス開けた」
「へぇ、いいじゃん。見せて？」
「いや」
「なんで？」
上から見下ろすようにして旭ちゃんの顔を眺める。何かを言い淀んでいるようで、目を伏せながら軽く唇を咬んでいる。その口を割らせるのに右手で耳たぶを撫で、何度かやわやわと揉んでみる。そのまま旋風、額、目尻と順番に口付けを落としていく。
彼女はその刺激にも身体を捻って耐えていた。そんなに言い淀むことかね？
「あーさーひーちゃーん」
「…まって、あの。開けたん、舌やから…待って」
勿体付ける様に段々と接触を下に下げていくと、途中で観念したのか顔を両手で覆いながら弱弱しく告げてきた。
した？したって上下の下？いや舌か。舌とかそんなん見たいに決まってる。
恥ずかしいのか小さく縮こまる旭ちゃんの両手を取り、強引にどかさせる。
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作者名：眞宮 | 作成日時：2022年9月7日 0時
