とある男女のSS【QK】 (ページ19)

今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:9,841 hit

早朝（ymgm）ページ19

「あれ、ゆずさん今日早起きなんやね」
「ん～今日置屋とおはなしせんとならんくて～うるさくするけどごめんな」

いつもはお昼くらいに起きてくる恋人が珍しく先に起きていたので、声をかける。置屋と言うと前職の関係だろうか？退職してから時間が経っているとはいえ一時代を引っ張ってきた逸材だからかこういったことは多いのだろう。
確かに彼女は綺麗だし、引退した今でもその才能は健在だ。お店の人が彼女を頼るのも分かる気がする。
そんな彼女はまだ少し眠たいのか瞼を半分落とし、節目にPCを眺めていた。
いつもより大分早く起きてきているから流石にまだ眠いらしい。
俺はその足でキッチンへ行き、T-falに水を入れスイッチを押す。その間に戸棚からハンドミルを出してきて準備をする。お湯が湧いたら曳いた豆に注ぐ。暫く蒸らしてからお揃いのカップに淹れて、自分には２つ、彼女には３つ角砂糖を入れる。
そのままPCで作業をする彼女にカップを差し出す。

「ん？あぁ、おおきに。大喜くんは気が利くええ子やねぇ」
「ううん、ついでやから」
「ええの謙遜せんで。ね、こっちきぃ」

もう充分近いのに、これ以上近くってどこまで近づけばいいの？
カップを持ちながら考える俺を見つめてからからと笑う彼女。手だけでそれ置いて、と指示されてカップをテーブルに置く。そうすると左側に彼女の顔が来て自然と彼女との距離が縮まった、と思ったら強めの力で首を引かれた。
もちろん油断していたし、力も抜けていたので彼女の方に倒れ込む。

「うわっ！」
「ははっ、かわええねぇ大喜」
「いや何やん急に！！」

抗議するように彼女に向き直り、丁度彼女の膝の上に座るような形になってから「危ないでしょ！」と叱っても彼女は気にすることなく微笑んでいる。
その後暫く、潰れるつぶれないだの降りるおろさないだのぎゃいぎゃいやってから俺が黙らないのが分かったのか急に彼女の指が俺の頬に伸びた。