検索窓
今日:5 hit、昨日:3 hit、合計:9,843 hit

ページ15

思わず見惚れて眺めていると、痺れを切らした彼女が手当を急かしてくる。慌ててスマホを置いてガーゼをテープで固定する。後は血の付いたコットンと救急箱を片付ければ完了である。
ゴミ箱と洗面所を経由してリビングに戻ると、彼女が俺のスマホでさっきの写真を眺めていた。

「まだビリビリするんですけど」
「申し訳ございませんでした」
「アイスを所望する」
「はい只今!」

そういわれるや否や急いで冷凍庫まで走る。中からお目当てのアイスとスプーン、あとメープルか。必要な物を見繕ってなるべく早くリビングへ急ぐ。ゴトゴトとテーブルにアイスを並べると満足げに頷かれた。

「ご苦労」

それだけ言って動かない彼女。数秒沈黙があり、目線を向けられて気付いた。
俺はアイスのカップを開け、メープルを垂らしスプーンで掬う。そしてそのまま彼女の口元までアイスを運ぶ。小さく口を空ける彼女。どうやら正解らしい。彼女の食べやすいようにスプーンを傾け滑らせると、ほぅっと息を吐いて舌鼓を打つ。
それを飲み込んだ後もう一度口を開けて待つ彼女。またアイスを掬って持っていく。
何度かそれを続けると彼女は満足したのか、俺からスプーンを奪って今度は俺に差し出す。
有難く頂戴すると、アイスの甘さと血液の交じり合った変な味がした。それに顔を顰めた俺が可笑しかったのか肩を震わせて笑う彼女。

「変な味する…」
「自業自得じゃん」
「スイマセン」

謝る俺を見て「馬鹿じゃん」と笑う彼女。長い金髪を肩から零して細い指で俺の唇を撫でる。
その指が赤くなっていた。あ、俺血ついたままなんだ。

「これじゃDom/Sabじゃん」
「どむさぶ?」
「SMバース性」
「うわまた未知の世界だ…」

ソファに座り直して彼女の見せてくれるスマホの画面を読む。まだまだ俺の知らない世界があるんだなぁ。画像をスクロールして読み込んでいると、彼女から声がして意識を持っていかれる。

「まぁ、輝くんがくれるなら首輪も悪くないけど」

そのまま赤くなった指を目の前に差し出されて、俺は反射的に舌を這わせる。彼女は面白そうに目を細めて髪をかき上げる。口の中でまた鉄の味がした。

(口濯いできたら?)(そうする…)

飲み会(hys)→←首輪(hys)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (9 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
21人がお気に入り
設定タグ:qk , quizknock , 短編
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:眞宮 | 作成日時:2022年9月7日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。