45話 疑問 ページ49
私は観賞植物の影に身を潜めて、二人の会話をまた聞いていた。
ドクンドクンと、心臓が大きな音を立てて鼓動を刻む。息苦しい。
どういう事……!?
お父さんと芙美子さん、私達に何を隠しているの……!?
私はその場にうずくまって右手で心臓を押さえた。
呼吸がどんどん荒く為っていく。
お父さんは、太宰さんの事を知っているの?どうして太宰さんが危険なの?
まあ、確かに自 殺嗜癖で子供には悪影響かもしれないけれど!!
「なん、で……」
消え入りそうな声で呟く。萩原の声が頭の中で響いた。
“Aは既に太宰君と接触した様だ。効果が弱まっている”
効果が、弱まっている……?
太宰さんと接触したら、弱まる物。太宰さんの異能力“人間失格”に因って弱まる物は、異能力だ。
私に、異能力が掛かって居るって事……?
どんどん呼吸が荒くなって行く。
駄目だ、考えるな。
すると頭に激痛が走った。私は頭を抱える。
「ッあ……!!痛……ッ!!」
私は床に倒れ込む。
物音を聞いて執務室のサンがこちらを覗いた。
「!!Aッ」
サンが私に駆け寄る。子規も後ろから着いてきた。「Aちゃん!」
私はサンに抱き起こされる。
社長室の芙美子と萩原もこちらに来た。
「A!」萩原がいう。
頭の中に大きな音が響く。
すると萩原の大きな手が私の額を包んだ。
全身が暖かく為って行くのを感じた時、意識が飛んだ。
39人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さくら志摩 | 作成日時:2018年7月22日 23時