2話 会議室内 ページ4
急いで階段を駆け上がり、“特別広域探偵社”と彫られたプレートがぶら下がる戸を勢いよく押し開けた。
そして勢い余って目の前の壁に頭を激突。
だが今の私に、頭を押さえ痛みに悶える暇など無い。
私は戸を閉めて会議室へと走って向かった。
ドガンッ!という大きな音と共に私は戸を開ける。
「遅れそうに為りましたぁ!」
時刻は7時58分。うん、遅れてはいない。
会議室には既に先客が沢山居た。といっても、6人しか居ないが。
特別広域探偵社は、極めて少ない人数で活動している。理由は簡単だ、人数を集めて組織を大きくしてしまっては行動が目立つからである。
といっても、私含めて7人はきつくない?
「お疲れ様、Aちゃん」
そういったのは、長くて艶のある茶色い髪の毛を靡かせた女性だった。若干毛先が緩やかなカーブを描いている。
彼女は、吉屋信子。
特別広域探偵社のハニートラップ担当だ。
信子は顔が整っているしスタイルも良くてグラマラスだ。何より、物腰の柔らかい話し方をするので普通の男性ならハートをわしづかみにされるだろう。
そして付いた役職が“ハニートラップ担当”なのだ。
「お早うございます、信子さん」
私は軽く会釈をして、空いている席に腰を掛けた。
全身が限界を訴えているが、残念ながら休む訳にもいかない。
「Aちゃん、昨日の怪我は大丈夫かい?」
そういって私の隣に座ったのは、ルイス・キャロルだった。茶色の髪と青い目がトレードマークの高身長な男性だ。
ジェントルマン、という言葉がぴったりのイケメン!特別広域探偵社調査員の中では、私イチ押しのイケメンである。
「……全然大丈夫じゃないよ、本当に。朝からロボットみたいに然動けなくて困ってる」
「かなり殴られていたからな。本当、申し訳無かった」
ルイスは深々と私に対して頭を下げる。
確かに、潜り込んだのは私とルイスだったけれど、殴られたのはあくまで私の不注意だ。ルイスがそんなに謝る必要は無い。
「ルイスは悪くないよ!私の不注意だし」
「だけどな、Aちゃん。
姫を守るのは
ルイスは私の両肩を優しく掴んでいう。
なんて素敵な言葉をサラっと言えるのだろうか彼の人は!
39人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さくら志摩 | 作成日時:2018年7月22日 23時