24話 初仕事 ページ27
出勤すると、応接間で国木田と敦が一人の男性と話をしていた。
その男性の両脇には黒いスーツを来た護衛役の人が一人ずつ立っている。偉い人なのだなと私は察した。
「御早う御座います」
私は軽く会釈をした。
するとその男性が大きな声を上げた。
「彼女じゃ!この彼女にして呉れ!」
「し、しかし……!」
国木田が少し焦る。
「今回の護衛内容は先程伝えたじゃろう?キッドを油断させる為にも、護衛役は女にしてほしいと!彼女ならぴったりじゃ!」
「キ、キッド……?」
私は話の内容が全く見えずに戸惑う。朝っぱらからこの人勢い凄くない?
観念したのか国木田は私を手招きして、敦の隣に座らせた。
「彼女は沙都河Aといいます。一週間程前に入社したばかりの新入りですが…」
うん、国木田さん。言いたい事はわかるよ。
入社したばかりの新入りに、こんな偉い人の依頼を任せたくないんだよね?
失敗したら危ないし。うん、わかるわかる。
私も初仕事が偉い人からの依頼とか…!
そんな、そんなの……………………はしゃぎ過ぎて物壊して怒られて失敗する。
「それならばもっと良い!新入りとなれば、彼女の力をまだ誰も知らぬのだろう?キッドを油断させるには充分過ぎる程の条件ではないか!」
この人は全く退かない。
国木田さんが遠回しに無理だといっている事に気が付かないのだろうか。
国木田は静かにお大きく溜息を着いて私の方を向いた。
「A……無理にとは言わない」
「Aちゃん、無理しなくていいんだよ?」
国木田と敦の視線が痛い。
私はにこっと笑う。
「私で良ければ!」
盛大な国木田の溜息が聞こえた。
残念国木田さん!この仕事、私が全部頂きます!
まあ、失敗なんてしないけど。
「よろしくお願いします、沙都河です」
私は依頼人の男性の手を取って笑った。
「期待しとるぞ!」
初仕事、決まりました!!!!
39人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さくら志摩 | 作成日時:2018年7月22日 23時