13話 彼が ページ15
思ったよりも人が多くで驚いた。
爆発場所には三人の死体が在った。車内の壁は黒く焼け焦げていて、窓硝子は全て割れている。
私は取り敢えず、辺りを確認しながら慎重に進んで行った。
最後尾から走ってきたであろう乗客達が急ぎ足で進んでいく。そんな中、逆方向に歩いていく私は何とも可笑しいだろう。
すると後ろから声がした。
「君!そっちは危ないよ!」
振赤い着物姿の女の子が私の横をすり抜けて走って行った。少し見えた瞳には色が無い……感情というものが無かった。
私はその着物の子を追い掛けようとすると、パッと手を掴まれた。振り返ると、白い髪の毛の男性が立っていた。きっと、この人が中島敦だ。
私は直感的にそう感じた。
「そっちは危ない。早く向こうへ__」
「それはお互い様」
私は敦にいった。兎に角、今は爆弾の処理が先だ。
手を振り払い、私は着物の子を追い掛けた。
この彼が中島敦か。
私は後ろを着いて来る敦を見ながら思った。見た感じだと、一人で来たようでは無いらしい。何人か連れが居る様だ。
最後尾に迄来ると、さっきの着物の子が立っていた。
耳には携帯を当てている。
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作者名:さくら志摩 | 作成日時:2018年7月22日 23時