10話 小学生探偵 ページ12
だが、止まっていた流れが再開したので人が多く見つからない。
すると何処からか声が聞こえてきた。
｢コナン君！何処に行ってたの？探したんだよ｣
｢えへへ、ごめんね蘭姉ちゃん｣
さっきの子だ。
私は人混みから勢いよく抜け出して、その二人の前に飛び出した。
目の前の二人は目を丸くして驚いている。
私は屈んでコナン君と呼ばれた子と視線を合わせた。
｢さっきはありがとね、助かったよ｣
｢ううん！それより、お姉さん強いんだね！｣
コナン君は無邪気な子供の笑顔を向けて来る。何だか、さっき叫んだ時とは全く違う雰囲気と顔付きだ。こんな雰囲気だったか。
｢そんなことないよ……えっと、コナン君でいい？｣
コナン君は頷いた。
｢ちょっと、話したい事が有るんだけど……｣
私は立ち上がり、蘭姉ちゃんと呼ばれた女性の顔を見る。｢一寸いいかな｣
いきなり話し掛けられて驚いたのか、蘭はコナン君の方を見た。
｢蘭姉ちゃん、一寸待っててね！すぐ帰ってくるから｣
そういうとコナン君は私の手を引いて、｢お姉さん行こう｣と人が少ない所まで引っ張って行って呉れた。立ち止まり、コナン君は私を見上げる。
そしてさっきとは違う声色で話し掛けてきた。
そう、この君と話したかったんだ。
｢お姉さん……何者？｣
｢そう、君と話したかった。いいよ、教えてあげる｣
私はにこっと微笑む。
｢私は沙都河A。武装探偵社の調査員………………………………………に成る予定の人間｣
｢成る予定の人間？まだ成ってないって事？｣
私は苦笑いをして頷く。｢そう、成りたいんだけど色々と事情でまだ成れてない｣
コナン君は怪しい人を見るような目で私を見ている。
小学生とは思えない瞳だ。
｢そして、君は？｣
｢江戸川コナン、探偵さ｣
私は思わず感嘆の声を出した。探偵！だからか！
さっきの強盗の手順を推理出来た理由も、私の背後の影に気付いた理由も、探偵だからと言ったら全て謎が解けるじゃないか！
｢へえ！だから、さっきの強盗の三人目を見つけ出せたんだね｣
｢でもさ、Aさん。僕がいう前から、気付いてたでしょ？｣
コナン君はいった。
｢あれ、ばれてた？｣
｢うん。僕が声を出す前から後ろを警戒してた。それに反応も速かった｣
コナン君がいった。
へえ、本当に凄い子だ。
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作者名：さくら志摩 | 作成日時：2018年7月22日 23時
