[190] M side ページ15
そこは前に来たままの状態で
いや、少し片付けようとしたのかな?
余計にゴチャッとしてる?
そう思って思わず
「この部屋は掃除してないね(笑)」
って言っちゃったら
翔くんに肩パンされた
「いたっ!翔くんひどい…」
「いーや、痛くない
なぜなら俺が痛いの嫌いだから」
「・・・なにそれ?」
「お前が痛く感じるほどの力で殴ったら俺の拳も痛くなるだろ?
俺は痛くなりたくない
だからお前も痛くない・・・はずだ」
「ふふ、なにそれ?
確かに痛くなかったけどさ(笑)」
翔くんの可愛すぎる理論を聞きながら
だからデコピンも痛くなかったのかな、なんて少し前のことを思い出してた
そんな風に何でもない話をしたり、興味を引かれた本について質問したりしながら奥の本棚から手をつけ始めたけど
ホントにとんでもない冊数だからあまり見た目に変化が見られないまま、気付くと夕方になっていた
翔くんも窓の方を見ていたし
「あ、そろそろ夕御飯の支度しようかな」
って言ったら翔くんが
「わーい!松本ごはん!」
子供のように両腕を上げて無邪気な笑顔で喜んだ
…可愛い
あまりの可愛さに固まりつつ、こんなに楽しみにしてくれてたんだって嬉しくもなって
自分の口角が上がるのを感じた
照れ隠しに「やっぱりお腹すいてた?」って聞いたら
「ちげーわ!!」
翔くんは大声で答えるとドスドスと足音を響かせて部屋から出ていった
そんな姿も可愛い翔くんのために、翔くんにもっと喜んでもらうために気合いを入れて俺も部屋を出てキッチンへ向かおうとしたら
何故か翔くんがダイニングテーブルの前で立ち止まってて
…頬を膨らませてる??
「ふふ、翔くんなんで膨れっ面?
すぐごはん作るから待っててね」
理由はわからないけど、結局そんな表情も可愛いから
俺はいそいそとキッチンに向かって、来た時に仕舞った食材とかを出し始めた
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作者名:りん | 作成日時:2020年9月5日 16時