the one =10= (ページ13)

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[188] S side ページ13

…マジ、なんなの俺？

松本と喋るのは楽しい
それは実感としてわかる

でもさ
なんかさ
喋らなくても、無言でいても楽しいっていうか、嬉しいっていうか

そんなわけわかんない感情に支配されながら

本棚の整理は一部分の移動しかできなかったけど、時間はあっという間に過ぎていて

ふと見た窓からの景色がオレンジめいていた

窓を見てる俺に気付いて

｢あ、そろそろ夕御飯の支度しようかな｣

と松本が言った

｢わーい！松本ごはん！｣

思わず両腕を上げて喜んだ俺を松本は目をまん丸にして見た後
小さくふふっと笑って穏やかな顔をした

その表情にドキッとした

ドキッとしたのに……

｢やっぱりお腹すいてた？｣

なんて言うから

｢ちげーわ！！｣

って返事して、俺は足早に勉強部屋から出た

…なーんだよ、俺がガキみたいに喜んだから笑っただけかよ

それであんな表情するのかよ

いちいちさ･･･

松本の一挙一動に動揺する俺がいる･･･

マジわけわかんねえ

･････微妙に、ムカつく

勉強部屋から出てダイニングテーブルで立ち止まってる俺を見て松本は

｢ふふ、翔くんなんで膨れっ面？
すぐごはん作るから待っててね｣

と楽しそうに笑いながらキッチンに入っていった

･･･やっぱり俺のこと食欲小僧だと思ってやがるな

てか食欲小僧って何？

自分で自分にツッコミながら
松本に微妙にムカつきながら

まだ食べたことない松本ごはんへの期待に胸が膨らみすぎて、俺は松本の後についてキッチンへ入った