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「おねーちゃん｣
『ん？どうしたのかな？』
路地からでてすぐ、獣耳の生えた、4、5歳くらいの男の子に出会った。その表情は不安げで、A達に助けを求めた。しかし……
「……お母さんが｣
としか言わないのだ。
今にも泣きそうな感じで、ちょっと焦った。
『お母さんとはぐれちゃったのかな……』
「ちがう……母さん、倒れて、赤いの……｣
「A、はやく現場に向かった方が良さそうだ」
ぎゅーっと、男の子にTシャツを引っ張られる。
｢着いてきて｣という事だろうか。
『よし、お姉さんとお兄さんに任せて。名前はなんて言うの？』
「……シュリ｣
シュリを抱っこすると、指をさして、A達を案内してくれた。
『ラインハルト、なんか嫌な予感がする』
「先回りしてくるよ｣
ラインハルトならジャンプで目的に着けることが出来るんだった。存在がチート。着地の衝撃が強いだろうから、私とシュリは置いていったのだろう。
「……あっち｣
数分経ったくらいで、目的地についた。この子の家のようだ。
私の腕から抜け出すと、シュリは部屋へ入っていく。
『あっ……待って』
慌てて追いかけると、そこには。
『ラインハルト？』
「……逃げたか｣
先回りしたラインハルトが居たのはもちろん。キッチンの前で、女性が倒れていた。
「お母さん、お母さんっ……｣
『！凄い血の量』
シュリが辛そうな顔をしている。心配をかけるまいと、シュリの頭を優しく撫でる。
『大丈夫だよ。お姉さん、こう見えて治癒魔法使えるんだからね』
母親の太ももに、❝何か❞に噛みつかれたような跡が見える。
その❝何か❞は、Aには分からない。
この子が助けを呼ばなかったらと思うと正直ゾッとした。
傷口に手をかざしながら、治癒に集中する。治癒魔法使える事を思い出したAは、顔を切られた部分もついでに治した。
「君は一体何者なんだ？」
剣聖の呟きは、Aには聞こえていない。
☆
シュリはオリキャラです。
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作者名：R | 作成日時：2016年9月12日 0時
