【rizero】ゼロから始める恋物語。 (ページ44)

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番外編《人気者》② ページ44

「大丈夫か」

『ユリウス？』

「散々だったな。どれ、見せてごらん」

『見てたんだ……』

待ってましたと言わんばかりに良いタイミングでユリウスに出会った。思い返せば、ミミが近くに居ることを教えてくれていたような気もする。
ユリウスは身長差を埋めるように跪いて、Aの両頬を優しく包んでくれた。

「……ふむ、少し目が赤いな」

『ゆ、ゆりうす……それくらいなら自分で治せるから大丈夫だよ』

「頬が赤いようだが、これは私の気のせいかな？」

『……っ！ばか』

手袋越しからでも伝わるくらい頬を赤くする彼女に、思わずユリウスは瞳を細めて、じっとり見つめる。そして軽く口付けをし、よれた騎士服を直し去っていった。

『私の気持ち弄んじゃって……はぁ』

悪態をついた後、我に返って周りを見渡すと獣人たちが拳を握り、親指を立てていた。そしてなAは周りに傭兵団が居ることを今まで忘れていたことに気づく……。

「相変わらず、ユリウスとAは熱いなぁ！！」

一番最初に高笑いするのは決まってリカードだ。それに続いて、口笛やからかいの言葉が飛び交った。

『ユリウス分かっててしてるじゃん……』

恥ずかしさで死にたくなった。いつかユリウスに仕返ししたいと思うようになり、この日からAは着々と仕返しプランを練るのであった……。

番外編《人気者》終わり