番外編 《人気者》�� ページ43
「Aー！あそぼー！」
「姉さん迷惑ですよ……そんなところも可愛いけど」
『ぎゃっ……！？ってミミとへータローね』
いきなり肩に負担がかかったと思えば、ミミが肩に飛びついていた。一瞬フラついたが、持ちこたえ、さらにミミに肩車をしてあげる。そして姉を心配しているへータローだったが、ちょっと羨ましそうだ。
『へータローも肩車してほしい？』
「いえ、僕は大丈夫です」
そう言いながらAの騎士服をちょこんと両手で摘む。その姿が愛らしくて思わずにやけてしまう。
『また今度してあげるからね』
左手でへータローの頭をなで、右手で暴れるミミを抑えている。
傭兵団――『鉄の牙』ではこうした光景がよく見られる。
「Aさん剣の相手してください！」
「ライガーでひとっ走りいかん？」
「Aちゃん今日も人気者やな〜」
『あはは』
剣の腕は、今や男性陣に劣らない。入所当時は信用してもらえていなかったが、実力を知ってもらえてからは仲間として接してくれている。
『今日はミミとへータローが先客だからね』
「お、ユリウス。A、ユリウス！」
『ぎゃ！？ 痛いよ！！！』
やんわり断りを入れていると、突然目に衝撃。流石のAですら直接目を叩かれるのは痛い。ちなみに遠慮なく叩いたミミは何とも思ってなさそうである。
『うう……酷い』
良心で肩車をしてあげたのに、こんな目にあうとは。悪気があってした訳ではないのだけは分かっているつもりだが。
思わず膝を曲げ蹲った時に、ミミは逃げ、逃げた姉の代わりにへータローが謝り、そして姉を追いかけてどこかへ行ってしまった。
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作者名：R | 作成日時：2016年9月12日 0時
