#22 ページ22
『絶対、ぜーーったいユリウスには言わないでよ！？』
「──リンガ三つでどうや｣
『うっ……！それで秘密にしてくれるなら』
約束を守ってもらう代わりにリンガを奢ることで契約した。
バラされて周りの人達にはやし立てられるよりかは、随分とマシだろう。リカードとやり取りをしている間に約束の時間が迫っていることに気づく。
『今日はリリのお手伝いするんだった……！』
―
『リリって好きな人とかいるの？』
「え！？いや、その、居ないって言ったらウソになるんですが……その……｣
『いるんだ？』
「はいぃ……｣
恥ずかしさのあまりか、リリは手に持っていた雑巾で顔を隠すが、真っ赤な頬がはみ出てしまっている。可愛らしいリリの姿に思わず微笑んでしまった。
『あはは、実は私も好きな人いるんだ〜』
「え、そう……なんですか」
『まあ、その人ってユリウスなんだけど…』
自分で打ち明けたものの恥ずかしさでどうにかなりそうだった。時間が経つにつれ顔に熱が溜まっていくのを感じる。
「ユリウス様ですか……かないませんね……｣
『やっぱり無謀かなあ……まだ諦めれなくて』
「いいえ、貴女ならきっと上手く行きますよ｣
目を細め、白い歯が素敵な笑顔。一瞬見とれてしまった。
『ありがとうリリ。私もうちょっと頑張ってみる』
「……はい。ユリウス様とA様が結ばれる日を、僕も待っています｣
「――私がどうかしたか？｣
後から声がしたかと思うと、そこには愛しい人が。
かなり本音を打ち明けており、聞かれていないか不安になった。また、あの時みたいにみっともない告白はしたくない。
『えっと――』
「僕とA様の秘密の話です｣
突然のユリウスの登場に驚きと緊張で、どもってしまうAの声を遮り、リリは口を動かす。
「ほう──隠し事は関心しないが」
「お許しくださいませ。プライベートですので｣
『そうなの。ごめんね、ユリウス』
ユリウスは納得いかなさそうだったが、とりあえずこの場は落ち着いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 245人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：R | 作成日時：2016年9月12日 0時
