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#21 ページ21
「よそ見は厳禁ですよ｣
『──ッ！？っ！？』
ユリウスの剣に弾き飛ばされ、地面に転がる。痛みは感じなかったが、強さに驚いてしまった。
A本人だけでなく周りも確実に上達しているのは、体で感じる。
『……やっぱり強いなぁ』
「ふっ……そろそろ時間だ｣
汚れた騎士服を払い、立ち上がろうと思った時、視界が暗くなった。よろめいたAを、ユリウスが支えてくれる。
「大丈夫か｣
『っ……ありがとう』
「……ではまた明日｣
いつも終了時間になると、心にぽっかり穴が空いたような気持ちになる。寂しさを隠そうとするが、Aは気持ちを隠すのが下手だった。困ったように眉を曲げるユリウスが口を動かした。
「どうした。また会えるだろう｣
『分かってる。今日もリリと一緒にいるから……』
「そうか、暇が出来たら私も行くかもしれない｣
ぱっと顔をあげれば、ユリウスが少し意地悪そうに笑っていた。目を合わせれず、逸らしてしまう。
『調子狂うから行った行ったぁ！』
無理やりユリウスの背中を押して、お別れをした。
ユリウスの姿が見えなくなってから、落ち着かせるようにゆっくり息を吸う。
「ワイもおること忘れてへん？｣
『！？ごめんリカード、完全に忘れてた…』
心臓を落ちつかせるように深呼吸したわけだが、この獣人のおかげでまたうるさく鳴り響く。
「ま、ほどほどにな｣
『完全にバレた……』
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作者名：R | 作成日時：2016年9月12日 0時
