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お店に入ってすぐに頼んだご飯が運ばれてきて、
みんなで食べはじめようとしたその時。
怜央は自分のハンバーグを見つめては、私にそう尋ねた。
怜「卒業してから会ってないんでしょ？
連絡も、取ってないの？」
藤「ちょっと、」
今そこ突っ込む？って、藤ちゃんが怜央を見る。
「………顕嵐が、そうしたいんなら、ね」
昔なら当たり前に、彼もここにいた。
だけど今は、いない。
怜「顕嵐に聞いてもなーーんも話さないし。
俺よく話すんだよ？Aの事。
こないだこっち帰ってきてたよーとか、
あの式場で働く事になったんだって！とか」
「うん、」
怜「それなのにあいつ、"元気？"ともなんとも言わないで、
"その話しないで"、って言うんだよ？
何で？って聞き返しても、
"別に聞いてないじゃん俺"、ってさ。
俺何度も顕嵐に怒りそうになってる………」
ハンバーグを口に運ぶのに、
眉を下げて悲しそうな顔をしている。
まるで、ハンバーグが美味しくないみたいな顔。
怒ってる、けど悲しそうな顔。
「…一回だけね、東京で、顕嵐を見かけたことがあるの」
藤「え、初耳」
「ちょうど一年前くらいかな。
職場の人たちと、仕事の後ご飯行こってなってね。
何食べたい？なんてお店を探してたら、
横断歩道の向こう側で信号待ちしてた。…顕嵐」
怜「それで…？」
「駅前だし人が沢山いて、向こうは全く気が付いてなくて。
もし目が合ったら、
信号渡った時に話しかけようと思ったんだけど…
私の知らない男の子と、女の子2人。
一緒にいたから……なんかまずいかな、って」
怜「はぁ……」
ちょくちょく、というか長い休みの節目ごとに
こっちに帰ってきてはご飯を食べに行ったり、
会ってた2人だったから。
この話なんていくらでも話せる時あったんだけど、
こうして、顕嵐の事を聞かれる事が無かったから…。
話してなくてごめんね、と2人に言った。
怜央はハンバーグを食べていた手を止めて、
カチャン、とお皿にフォークを置いてはため息をついた。
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作者名：ちゃん
| 作成日時：2018年5月11日 23時
