花びら……枚 ページ7
No,side
慌ただしく家主が外へと出ていけば必然と静まり返る部屋。
静かになった部屋に先に口を開いたのは動物愛好家だった
｢あのキヨがあんなになるくらい好きになった人ってどんな子なんだろうな｣
｢ん〜、あの某女優より綺麗で可愛い子？｣
1人を覗き、2人はまだ見ぬ彼女の存在について盛り上がりを見せていたが
華声の持ち主の ねぇ という言葉に、会話は途切れ、声の主に視線をうつす。
｢2人に、話しておきたいこと、あるんだけど｣
｢え、何お前もまさか女で引退？｣
｢さすがにお前まで居なくなったら寂しいよ？｣
なんとも言えない苦い表情を見せる男に、二人は深刻さを感じたのか、からかうつもりが口を閉ざす。
｢キヨくんの、彼女の事、なん、やけど…｣
知り合った経緯から、永眠したその子に、お別れを告げたこと、その日から、居ないはずの彼女が存在していると、続けた実況も、突然引退する程におかしくなってしまったこと
話し終わる頃には、重たい空気が部屋を包む。
家主は未だ帰ってこない
それもそのはず彼が探しに出た彼女は、もう既に居ないのだから。
｢う、ぇ……な…だ…ぃ、は｣
(訳 う、え、なんで……だって…今、は？)
｢落ちついてうっしー、…ていうかレトさん、それってかなりキヨの精神状態まずい方向にいってるよね…？｣
｢…ん、かなり。………………キヨくんが1人でピースしてる写真が送られてきて…、Aとツーショ羨ましいだろ、とか言われて…電話した日も、Aが起きたから、切るって言われて、しまいには、俺もAちゃんが俺を呼ぶ声が聞こて………はは…俺も、おかしくなってしまったんかな……今のキヨくん見てると俺まで……｣
｢……レトルト………。まぁ気持ちはわかる気がするわ…、……お前も実際行って、みてきてるわけだし、ここ数週間、よく頑張った｣
｢そうそう、レトさんめちゃくちゃ頑張ったね、えらいえらい。俺達も事情知ったわけだし、協力させてよ。まぁもう引退を撤回させることは難しいかもしれないけど、あれ以上酷くならないように、力合わせようね｣
暖かい言葉に、重い空気が軽くなったのと同時に、話しきった男の目からは涙が零れ落ちそうになっていた
｢あれ、なにしてんの2人でレトさんの背中撫でて…なんか絵面気持ち悪いよ？｣
帰ってきた人物の言葉で涙は一気に引っ込み、ボロクソに言われるまで後数秒
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作者名：夜 | 作成日時：2021年6月16日 21時
