想い通じて ページ46
大先生を探して喫煙室に行くが誰も居らず、部屋にも行ってみたがそちらにもいなかった。
どこにいったんだろう…？
部屋の前の廊下で行きそうなところを考えて…漸くインカムの存在を思い出す。
探し回る必要なかった…！
インカムのボタンを操作して大先生とだけ繋げると、ピピッという音と共に聞きたかった声が聞こえた。
ut〈…はい？〉
『大先生？』
ut〈！……Aちゃん？あー…そうやんインカムあったのにすっかり忘れて城中回っとった…〉
『…私も。それで…あのね』
ut〈あ、ちょい待って。…あのな、話したい事あんねんけど〉
『あ、私も…。最近、まともに話せてなかったし。…私が避けちゃってたせいで、ごめんね』
ut〈Aちゃんが悪いんちゃうよ。まぁその辺も含めて話したいんで、中庭まで来てくれる？げどちゃんおススメの場所があるんよ〉
『わかった。どう行ったらいいか教えて？』
ut〈うん。…不思議なもんやな〉
『？』
ut〈声聞けただけでこんなに安心できるんやなって思って…って何言っとるんやろ僕〉
『…私も。それじゃとりあえず向かうね』
ut〈うん、待っとるな。場所は―〉
大先生に場所を教えてもらいながら中庭へと向かう。
いつもの場所から少し奥に行ったところにその場所はあった。
小さい丸い池の周りを色とりどりの花が囲んでいて凄く幻想的な場所だ。
その花畑の手前の方に彼はいた。
…花と池の水色、そして彼の紺の髪がとても合っていて…しばらく私は立ち止まって見惚れてしまう。
綺麗、と思わず零れた声を拾ったのか彼がこちらを振り返った。
ut「Aちゃん来とったんや。声掛けてくれたらよかったんに」
『あ、いや…。見惚れちゃって…』
ut「へ！？あ、ああ…綺麗な場所やもんなぁ」
『景色も、だけどそこに立ってる大先生が凄く似合ってて』
ut「……今日は随分気恥ずかしい事言うなあ。…此処、げどちゃんが少しずつ花を増やしていって漸くここまでになったんやって。もっと増えたら俺らにも教えてくれるつもりやったらしいで。ふとした時に僕が見つけてもうて、げどちゃん以外やと僕だけ知っとる場所なんよ」
『そうなんだ。…やっぱりひとらんは凄いね』
ut「せやな。…なあ、Aちゃん」
いつも通りの軽口から真剣な声色に代わり、私も花々から視線を外して彼の顔を見る。
うん、と応えると腕をグイッと引き寄せられて感じる温かな体温。
久々に彼に抱き寄せられていた。
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淋(プロフ) - ちょこぱいさん» 気に入っていただけたようで嬉しいです！！ありがとうございます、無理のないように頑張って更新します！ (2020年12月14日 22時) (
レス) id: 7bc11c6066 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこぱい - めっちゃくちゃ面白いですね！続きが気になります.......！無理しないで頑張ってください！ (2020年12月1日 16時) (レス) id: 96347ca1af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：淋 | 作成日時：2020年11月13日 20時
