前世 ページ6
「それじゃ急がんとね。よかったら一緒にいこか?」
『いえ、大丈夫です。ありがとうございます』
「ほうか。そんじゃ…『また』」
そう言って彼は雑踏の中へと消えてしまった。
『…?また…ってどういう意味だろう』
ふと沸いた疑問を口にして、私もまた城へと消えていった―。
………ふっと意識が浮上する。
時間を確認すればまだ早朝だ。
何だか酷く懐かしい夢を見ていた気がする。
いや、夢じゃない。
あれは―。
そう思った時、ズキリと頭が痛み、それは断続的な痛みに変わる。
『いっ…た…!?な、に…。っつぅ…!』
痛みと共に何かが流れ込んでくる。
これは…記憶だ。
私の前世の。
我々国に居た時の。
(『初めまして。今日から幹部の一人となりました。真白Aです。皆様の足を引っ張らないように頑張らせていただきま……え?』)
(「やっほー、さっきぶり。Aちゃんって言うんやね。僕鬱って言いますぅ。遠距離部隊の隊長やってますー。皆には大先生とか鬱先生とか呼ばれとるんよ。よろしゅうね」)
(「なんだ大先生、彼女と知り合いなのか?」)
(「知り合いっちゅうかさっきたまたま街で会うたんよ。きっと運命やね!」)
(「はいはい。Aさん、気ぃ付けえや?こいつクズやから」)
(「ちょ!トンち辛辣ぅ!」)
それから大先生以外の幹部が次々と自己紹介をしていく。
総統であるグルさん、トントン、マンちゃん、シッマ、シャオちゃん、ロボロ、ゾム、エミさん、ショッピくん、チーノ、兄さん、ぺ神…。
…そうだ、私はあの日幹部になって彼らと出会った。
彼らは私にとても優しくしてくれて…本当に幸せな日々だった。
…でもそれからだいぶ経ったある日に…、そうだ、大先生が私を庇って重傷を負ったんだ。
ただその時の事も、その後の事も、それまでの日々も曖昧でまだ思い出せない。
あの後、私はどうなったんだろう―。
―頭の痛みが徐々に引いてくる。
前世の記憶…。
でもなぜか部分的にしか思い出せなかった。
…そういえば大先生、あの時と同じセリフ言ってたし、この連絡先…。
まさか覚えているんだろうか、彼も前世を。
逸る気持ちを抑える事ができず、早朝だという事も忘れて電話を掛ける。
重傷を負った彼の姿を思い出して、恐怖に手が震えた。
ワンコール、ツーコール…スリーコールの途中で呼び出し音が途切れ、彼が出てくれた。
ut「はい、鬱です!」
『あの…もしもし、Aです。……大先生?』
ut「!!」
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狐闇時 (こやみとき) ゾムさんすこ 歌い手目指してます! - まだ全部は読めてないのですが、むっちゃ面白いです!! ちょくちょくコメントかきにきていいですか。。。! 名前のところは狐闇時だけです!! (7月29日 21時) (レス) @page11 id: 558a88220b (このIDを非表示/違反報告)
淋(プロフ) - ゆきなさん» コメントありがとうございます!knさんは漸く思い出しました…先は長いですw (2020年5月17日 23時) (レス) id: 581caf22ad (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 思い出してほしいですなぁ (2020年5月16日 16時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
淋(プロフ) - わぐさん» コメントありがとうございます!読んでいただけて嬉しいです!今は外出できないからこそこういう楽しみがあるのって大事ですよね…!お気遣いありがとうございます^^ (2020年5月16日 9時) (レス) id: 581caf22ad (このIDを非表示/違反報告)
淋(プロフ) - 紫【ゆかり】さん» 優しさ、大事っスな! (2020年5月16日 9時) (レス) id: 581caf22ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:淋 | 作成日時:2020年5月5日 20時