【wrwrd】転生してもやっぱり表情筋は動かない【学パロ】

▽　ut side ページ36

ut side

授業が終わり、荷物を纏めてからAちゃんの席を見ればすでに彼女はいなかった。
いつもならどこかいくなら一声かけてくれるのだが…何かあったのだろうか？
荷物はまだそのままだから帰ってはいないはず。
ちょっと待ってみるかと思い席に座って手持ち無沙汰にしていると、スマホが振動した。
見れば生徒会のグループLINEで差出人はトンち。
すぐに全員生徒会室に来いとのことだった。
放送かけるわけでもなく、わざわざLINEで連絡してきたという事はそれほどの緊急性のある何かがあったんやろうか？
とにかく生徒会室へと向かった。

すでに大体のメンバーが揃っており、呼び出された理由を聞いてみたが誰も知らないようだ。
そうしてしばらくして、トンちが入ってきた。
Aちゃんを連れて、すごく険しい表情で―。

聞けばAちゃんが女生徒を突き飛ばしたのだという。
証拠に写メもあると。
いや…これ確実に冤罪ですやん。
写メも見せてもろたけど、明らかに突き飛ばされたてなっとるやつ、力入ってないし。
Aちゃんめっちゃ困惑の表情しとるし。

だがいつものトンちらしくなく完全に決めつけている。
…これは徹夜のしすぎで判断力が鈍っとるんかな。
しかもトンちも朝や下校の時女子にめっちゃ囲まれとるから…それのストレスもあったんかもしれん。
だがこのまま完璧に嵌められた彼女を放っておけるわけもない。
何とか間違いを正そうとするも、すぐにトンちに止められてしまう。
あかん…完全に頭に血が上っとるやん。
そして矛先は僕にも向く。
そのせいで僕が彼女と…なんて言いだす。
さすがにこれにはカチンと来たが―。


バンッ！！！


彼女が机を思い切り叩いた音で全員が押し黙った。
そして怒涛の説教。
眉間に皺が寄ってるしめっちゃ怒ってる…。
しかもこれ、たぶん僕が一緒に槍玉に挙げられたから怒ってくれとるんよな…。
やっぱり優しすぎるわ。Aちゃんは。
ひとしきり説教してAちゃんはクルっと踵を返して有無を言わさず生徒会室を出て行ってしまった。
後に残るのは静寂。
あのグルちゃんですら圧倒されて言葉が出てこないようだ。
とにかく追いかけなければ。
きっと…今頃後悔しているだろうから。

ut「Aちゃん！」

そう言って僕も生徒会室を出る。
どこにいったんだ…教室は、さすがにないな。
たぶん一人になれる場所…。
ああ、きっとあそこだ。

そうして僕は屋上への階段を駆け上がった。

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