初対面 ページ4
「ふーん。じゃあ、暇ってことだね。俺のこと見にきてよ。んでそのあと帰ろ一緒に。」
「えっ、えー、わかった。」
彼はすこぶる機嫌が良かった。かつてないくらいに、怖いくらいに、笑顔だった。後が怖いなと思いながらも、ちょっとは気になるし、仕方なく了承してしまったのだ。
放課後。
部活に行く生徒や、帰る生徒、まばらで、未だに英以外の友達が出来ていないのは、これは流石に何かしら仕組まれているだろ、とか最初は思った。それでも、出来てないのは自分が話しかけないからだという事実に、目を背けていたのだが。
まだ辺りは明るくて、今から帰れば家でゴロゴロできるのになと思ったが、まあ仕方ない、付き合ってやるかという軽い気持ちだった。
「いこ」
「う、うん。一緒の部活の人と行かないの？」
「あー、金田一？別にいいよあいつは。どうせ部活は一緒なんだから今一緒にいてもでしょ。」
「あ、そう？じゃあ一緒に行かせてもらおうかな。」
「そーしてよ。あ、ちょっと注意しないといけないことあってさーー」
英から移動途中嫌なことを散々聞いた。ちょっとおかしな先輩たちが多いよというのと、体育館がアイドルを推すファンみたいな人たちで溢れかえっていて、結構それが行きすぎてるということを。
「うげ、絶対わたしやばい。上で見てていいよね。」
「だめだよ。Aには、下で見てもらわなきゃ。」
「は？部員じゃないんだから無理に決まってるでしょ。てか私が無理こわい、先輩と話したくないし、そのファンも怖いし何もかも怖いむりむり。」
「むりじゃない。部員特権だから、関係ない人いても問題ないよ。別に見てる分には。今日だけ特別に、ってことで。」
「それがあかんのですよ。はあ、怖い会いたくない話したくない先輩こわいむり。」
？「っは、及川、女子にお前怯えられてるじゃん。ざまあみろ。」
いつのまにか体育館に着いていて、いつのまにか目の前には知らない先輩らしき人たちがたくさんいた。軽くホラーだった。だって、身長高いし威圧感すごいし。
「はーー？岩ちゃんに言われたくないんだけど。岩ちゃんの強面フェイスの方が女子ウケしないゾ！」
「キモいお前、地獄おちろ。」
「及川あ、岩泉怒らせんなよな。収集つかなくなるんだから。あ、ごめんね、国見の同級生ちゃん、なんか変なやつが騒いじゃってさ。」
「及川はアホで女に逃げられる可哀想なやつだから、しょうがないよ松川。」
続く
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作者名：りんご | 作成日時：2024年3月24日 23時
