第2話 ようこそ､陽だまり湯へ ページ10
上田サイド
上田「お世話になりました…」
短い時間だったが､俺を診てくれたお医者さんと看護師さんに挨拶して､病院を後にした｡
外に出ると､俺を助けてくれた男子中学生…誰だっけな?
琳寧の父「琳寧､来たみたいだぞ」
あー､そうだ｡琳寧だ｡
しかし､変わった名前だな…｡
琳寧とその父親が俺を待っていてくれたみたいだ｡
琳寧が父親に俺を居候させたいと頼むと､
記憶が戻るまで面倒を見ようと､あっさりOKしてくれたらしい｡
上田「お待たせしてすみません…」
琳寧の父「いいえ､大丈夫ですよ｡では､行きましょうか」
車の後ろ席に座り､左隣には琳寧がいる｡
琳寧「あっ､シートベルトして下さい」
上田「シートベルト…あー､これか」
琳寧「(車に乗った事ないのかな…?)えっと､こうやってですね…」
琳寧にシートベルトの仕方を教えてもらい､
何とか出来ると､運転席にいた父親が車のエンジンを出し､動き始めた｡
上田「何かすみません…また､お待たせしてしまい…(-_-;)」
琳寧の父「気にしないで下さい｡もしかして､車に1度も乗った事が無いんですか?」
上田「そう…ですかね」
琳寧の父親に運転しながら聞かれ､
俺は首を傾げながら答えた｡
琳寧「じゃあ､電車やバスにも乗った事がないんですか?」
上田「…そうかもな」
記憶喪失だからか､細かいことまで思い出せそうにない｡
何もかも空っぽな俺は琳寧の家に着くまで､
窓の外の景色を眺めるのだった｡
車に乗って数分後､坂を上った先で目を疑うような建物が見えてきた｡
上田「(時代劇に出てくるような城みたいだな…)」
琳寧「あれが菅田家です(^-^)!」
上田「えっ!?城みてぇな建物がΣ( ﾟДﾟ)!?」
琳寧の父「そりゃ､驚きますよね(^_^;)｡でも､琳寧の言う通り､私達の家ですよ(^-^)」
車は城みてぇな建物の前に止まり､俺と琳寧は先に出た｡
出入り口前に､暖簾が掛かっているのを目にする｡
上田「陽だまり…湯?」
琳寧「琳寧の実家である､銭湯です(^-^)!うちのパパは､銭湯の
上田「主?」
琳寧「はい!さぁ､中に入りましょ(*^^*)!」
上田「あっ､おい!押すなよΣ( ﾟДﾟ)!」
琳寧に「さぁさぁ!」と背中を押される形で､中に入った｡
琳寧「ただいま〜(*^^*)」
音杏&琳寧の母「お帰り(^-^)!」
出迎えてくれたのは1人は女性､もう1人は中学生ぐらいの女子｡
2人は琳寧の家族…か?
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作者名：セーラーローズ | 作成日時：2023年4月2日 0時
