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琳寧サイド
上田「ご馳走さまでした…」
琳寧の母「あら､上田さん?もう食べないんですか?」
師匠のお皿を見てみると､鯛ご飯や鯛の汁物は空っぽだけど､
鯛の焼き魚等のおかず料理は､まだ残っていた｡
上田「すみません｡実は今日の昼飯､魚だったんですよ｡報告しないで､申し訳ないです…(-_-;)」
琳寧の母「そうだったんですね｡私の方こそ､知らずに聞かないでごめんなさいね(^_^;)」
上田「いえ…」
琳寧「師匠…良かったら残りのおかず､琳寧が食べますよ?勿体ないですし」
上田「そ､そうか?すまん｡じゃあ､頼むわ」
師匠は立ち上がって､ダイニングルームを出ていった｡
師匠って､魚が苦手なのだろうか?
琳寧の母「次から､上田さんにも今日のご飯を何食べたか聞かないと｡気を付けなきゃ」
琳寧はママの独り言を聞きながら､師匠が残した鯛のおかず料理も食べるのだった｡
琳寧「ありがとうございました!またのお越しをお待ちしています(^-^)!」
閉店時間が近づいていき､最後のお客さんを見送って､片付けに入る｡
琳寧「師匠!暖簾を入れるの､手伝ってくれますか?」
上田「おう､分かった」
師匠と一緒に「よいしょっ」と暖簾を持ち上げ､中に入れていった｡
暖簾を片付けて､掃除道具を持って､
男子更衣室に入って掃除をしていると､
ロッカーの中に消毒液を掛けていた師匠が口を開いた｡
上田「琳寧…」
琳寧「はい」
上田「記憶喪失前の俺って､どんな奴だと想像している?」
琳寧「えっ…?」
椅子を布巾で拭いていた手を止めてしまう｡
やっぱり､師匠は…｡
上田「俺のために､記憶を取り戻そうとしてくれるのは感謝している｡だが正直､ここで過ごしていく内に記憶が戻るのが怖くなったんだよ…」
琳寧「師匠…」
上田「特に俺を助けてくれたお前の事は､失いたくない想いだ｡いずれ､恩を返したいとは考えている」
師匠が､そんな風に琳寧の事を想っていたなんて…｡
琳寧「あの､師匠」
上田「うん?」
琳寧「記憶喪失の前のあなたは､きっと良い人だと信じています｡言い方が悪いかもしれませんけど､オラオラ系で厳しそうですが､面倒見が良くて頼りになる人です」
上田「…そうか」
琳寧「あの､どうしてそんな事…」
上田「いや､何でもねぇ｡とっとと掃除､終わらせようぜ」
琳寧「はい､師匠!」
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作者名：セーラーローズ | 作成日時：2023年4月2日 0時
