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上田サイド
そこへ､1人の少年と猫が倒れたフリをした俺を発見し､
病院へと運ばれ､面会させる形で出会った｡
その少年が菅田琳寧｡猫が琳寧の飼い猫､みたらしだんご｡
最初はアイツをセイレーン一族の帝王の器にしようと思ったが､
琳寧の手を握った時､暖かくて俺を照らしてくれる太陽のような存在に見えた｡
アイツと出会った事で､俺の何かが変わり始めようとしている｡
上田「それで､アイツの家である銭湯で､しばらく世話になる事になった｡居候し始めて､まだ日にちがあまり経っていないが､過ごしていく内にルガン一族の奴らといるよりも､琳寧とアイツのご家族と過ごしている方が幸せだと思い始めたんだ｡家族の一員だと言われた時は戸惑ってしまったが､俺をパシリにしてくるルガン一族のアイツらとは違って､温かい心を持っている」
人魚は親がおらずに生まれるので､人魚の皆は本当の親がいない｡
ルガン一族の場合は､族長が親代わりとなる｡
ルガン一族の族長は使えない奴は切り捨てる､冷酷な性格なので皆､族長に逆らえない｡
当然､格下である俺もだ｡
風磨「記憶喪失は嘘だったんすね」
上田「あぁ｡このまま､港町の海には帰らないで銭湯に暮らしたいぐらいだ」
赤西「気持ちは俺も分かる｡けど､ご家族はともかく､琳寧という少年にはいつ打ち明けるつもりだ?」
上田「いずれ､話そうと思っている｡俺を救ってくれた､大切な奴だ｡アイツといると､温かい気持ちになる」
受け入れてくれるかどうかは分からないが､拒絶されるだろうと感じでもいる｡
その場合は､陽だまり湯を出るしかないんだ｡
上田「(何だ､この感情は…)」
何だか､胸が痛いように感じる｡
俺は…アイツが…琳寧が好きなのか?まだ､ガキなのに…｡
赤西「おい､大丈夫か?」
上田「あぁ､何でもねぇ｡(壁掛けの時計を見て)あっ､やべっ!あと､10分で昼休憩が終わっちまうΣ( ﾟДﾟ)!」
赤西「マジか!?途中まで､送ってやるよ!」
上田「すまねぇ!あぁ､菊池!昼飯､美味かったぞ!サンキューな!」
風磨「どういたしまして…(あんまり､食ってないけど…(ーー;))」
玄関まで菊池が来てくれて挨拶して家を出ると､
赤西の車に乗って､途中まで送ってくれた｡
それから､5分後…｡
上田「赤西､助かった」
赤西「おう､良かったらまた家に招待してやる｡これ､俺の連絡先な」
上田「あ…サンキューな｡じゃあ､行くわ」
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作者名：セーラーローズ | 作成日時：2023年4月2日 0時
