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上田サイド
赤西&風磨「…」
上田「その反応だと､そうだろうとは思った｡だが､本当の事だ｡俺らは敵同士の一族だからな…」
実は俺は人間ではなく､ルガン一族という人魚｡
海のギャングと呼ばれる鮫のような特性を持つ､狂暴な人魚の一族だ｡
ルガン一族は代々､セイレーン一族という人魚を守る役割を担っている｡
セイレーン一族の人魚は残忍な性格の持ち主が多く､
優しい性格の持ち主が多いというオンディーヌ一族の人魚とは敵対関係だと､聞かされていた｡
その為､同じ役割であるルガン一族とニクス一族も敵対関係なのだ｡
ルガン一族の人魚は鮫のような刻印が刻まれていて､俺は右の胸元にある｡
バレないように､ずっと隠していたが…(ーー;)｡
上田「憎いんだろ?俺の事｡だったら､こっちから出ていくぜ｡じゃあな」
敵同士の一族と争うのは､ゴメンだ｡コイツらは､陸の上で生活している人魚なんだ｡
いっそ､俺からいなくなった方が好都合だぜ｡
椅子から立ち上がって､アイツらに背を向けて玄関に向かった｡
赤西「待て」
風磨「赤西さん?」
赤西に声を掛けられ､つい足を止めてしまった｡
赤西「その様子だと､何か訳がありそうだな」
上田「何…?」
赤西「ルガン一族の人魚なら､他の一族の人魚だけでなく､人間も殺すと聞いている｡なのに､上田は何故､人間を殺さない?昨日､街の商店街で見掛けたけど､人間の少年と随分､仲が良さそうだったじゃん」
上田「そ､それは…」
くっ…どうすりゃいいってんだ…(ーー;)｡
風磨「上田さん｡俺も気になるんで､話してくれませんか?確かに､俺らは本来は敵同士の一族｡とはいえ､赤西さんの言う通り､事情がありそうですし」
上田「本当にいいんだな…?」
俺が聞くと､2人は頷いた｡
上田「俺は今､港町にある銭湯に居候している｡記憶喪失を装ってな」
赤西「記憶喪失…だと?」
上田「あぁ…」
俺は頷き､赤西と菊池に全てを打ち明けた｡
俺はルガン一族の人魚の中では格下であり､他の奴らからパシリにされていんだ｡
いわゆる､カーストって奴だな｡
セイレーン一族の人魚からもバカにされるので､俺にはセイレーン一族の人魚を守る役割さえ与えられなかった｡
そんな中､セイレーン一族の帝王を復活させれば､格下から脱出してアイツらを見返せる｡
そう思い､俺は陸の上の世界に行き､海岸で倒れたフリをして誰かが来るのを待っていたんだ｡
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作者名：セーラーローズ | 作成日時：2023年4月2日 0時
