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ケ ガレ オ モ イ デ ページ12

______________

Aside

手の甲に残された古い傷
汚い想い出を象徴するひとつの傷

この傷を見る度に、私は家族を思い出す。

思い出したくないと思っていても
忘れるなと思い出させてくる

『ッ泣くな私』

俯きかけた顔を上げ、屋敷へ向かう

忘れろ、忘れろと頭の中で連呼する

汚れた想い出なんていらない
家族との楽しい記憶さえあればいい

次第に早足になる

脳裏の裏側に隠していた想い出が
少しずつ顔を出してくる

助けてと叫ぶ妹と弟、子供を庇い血まみれになった
母さんと父さん。

私の目の前に凛々しく立つ、姉さん
私の、大切な姉さんを、兄弟を惨殺したあの鬼

嫌だ、これ以上思い出させないで欲しい
私は今の今まで姉さんみたいに強くなりたくて
頑張ってきたのに。穢れのない姉さんを
目指してきたのに。

姉さんは泣いたりしない。私も泣いたりしない

嫌だ、泣かないで
泣くのは弱い証拠でしょう

ドンッ

『ッひ...!』

何かにぶつかり、驚いて声が裏返る

「A、どうしたの?」

そこには、少し驚いた顔でこちらを見る無一郎がいた。


無一郎side


Aの屋敷に行ってみたけど...いなかった。
蝶屋敷に行ったのかなって思って迎えに行ってる

そしたら、向かい側からAが歩いて来てるのが
見えた。でも、どこか変なんだ

怖いものを見たような顔をして、涙を堪えてる

僕はその場に止まって、Aが来るのを待った
近づいてくれば来るほど、雰囲気がおかしかった

ドンッ

『ッひ...!』

僕に当たった途端、怯えるように肩を震わせ
左手を後ろに隠し身構えた

「A、僕だよ。ちゃんと前見て歩きなよ」

『ご、ごめんなさい..』

いつも以上に目を合わせてくれない。
距離も、1mより少し幅が大きくなっている気がする

「Aどうしたの?何かあった?」

Aは深呼吸をし、怯えるような様を “ 隠した ”

『いえ、何もないですよ』

いつものように、他人行儀な笑みをするA
でもその目は焦点が定まっていない
僕を見ているのに、一向に目が合わない

『では』

そう言い捨てると僕の横を静かに藤の花の香を
匂わせながら通り過ぎる

横を通り過ぎた瞬間にAの包帯の解けた左手が
横目で見えた

古い傷なんだろうけど、酷い傷だった

「A」

僕は自然とAを呼び止めていた

『...なんですか?』

声音は柔らかいが、一向に僕の方を向いてくれない

嫌われるかもしれない、けど
僕は聞いた

「その手の甲の傷、なに?」

ウ チ ア ケ レ ナ イ→←.



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すンず - すごい面白いです!更新頑張って下さい!応援しています!! (2019年10月31日 21時) (レス) id: 6823c0d55a (このIDを非表示/違反報告)
凜檎姫(プロフ) - 優しい無惨さん» コメントありがとうございます!更新めちゃくちゃ頑張りますぅぅぅぅ!!!(っ'ヮ'c)ウゥッヒョオアアァアアアァ (2019年10月19日 13時) (レス) id: f28697a51e (このIDを非表示/違反報告)
優しい無惨 - 面白いです!更新頑張ってください(`▽´)ヒヒヒ (2019年10月19日 11時) (レス) id: 2bdd2e1078 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:凜檎姫 | 作成日時:2019年10月18日 18時

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