43話 ページ45
それを聞いて、俺はもちろん無理だと思った。何故と言われてもそんなの数の違いは圧倒的だし、こうして話している間にだって世界中で命は産み落とされて増えていく。同じく消えていくものもあるけれど
『へぇ。傑がそういうこと言うなんて…本気なんだな』
夏「君もできないと叱るのかい?」
『別に叱らないよ、そんな立場じゃないし。でも無理だとは思う』
傑に何を言ってもきっと止まってくれない
それが自分は無力だと、苦しむ友達に差し伸べる手は無いのだと認めてしまうようで胸が痛い
夏「そうか、うん。でも私も皆に分かってもらいたいわけじゃないからね」
『…傑』
夏「私は
傑はスっと立って俺に背を向けた
『傑、』
夏「またね、A」
あの日と同じくそう言ってから、傑は公園から出ていった
追うことはできなかった
1人でとぼとぼ寮へと帰る
すると俺の部屋の前で見慣れた白髪が腕を組んで立っていて、俺に気づくなり部屋をさっさと開けろと言わんばかりにドアを顎でしゃくった
『先に入ってればよかったのに』
五「………」
重たい空気が流れて少し居心地が悪い。なんて口に出したらまたキレられるんだろうな……
そして五条がついに口を開いた
五「傑は呪術規定に則って死刑対象になった。殺すのは俺かオマエな」
『…うん』
五「他の奴らに俺らの親友殺されちゃ溜まったもんじゃねぇし?」
『うん』
五「とにかく」
『うん』
五「お前だけのせいじゃないから」
『…っう、ん…。……五条、俺さ…どうすれば、よかったんだろっ…』
今更思い出ばかり浮かんできて、珍しく涙が止まらなくてグズグズ鼻を鳴らした
そんな俺を見て五条はいつもみたいに長ったらしいため息をつくこともなく、嘲笑うわけでもなく、俺の頭を自分の胸に押し付けて背中をトン、トン、と叩く
その胸から聞こえる鼓動はどこか忙しなかったけど、心底安心した
五「あ、オハヨ。駅着いたよ」
『……ん』
目に手を当てて痒かった目を擦った
五「A?」
『?なに?』
五「…いや、なんでもない。さ、行こっか」
きっと俺がどんな夢を見ていたかなんてコイツにはお見通しなんだろうな。顔に出てたかな?
たしかに後悔はある
でもあの全てが青い思い出だったと思えるくらいには俺達は成長した
俺は自分の荷物を持って、あの日より少しだけ伸びた背丈の隣に並んだ
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いちご牛乳(プロフ) - 砂糖さん» ああああ‥‥ありがとうございます、、嬉しいです!!やっぱり絡み見たいですよね( ˙-˙ )笑書けたら書こうと思います(●´▽`●)頑張ります〜!! (2020年10月28日 0時) (レス) id: 78f1b03d1a (このIDを非表示/違反報告)
砂糖 - いつも更新お疲れ様です!!男主の小説が少ないのでこの小説を書いてくださって感謝しかないです。年齢制限の絡み…気になります()無理のない程度に更新頑張ってください、応援してます! (2020年10月26日 22時) (レス) id: f640eaedb5 (このIDを非表示/違反報告)
いちご牛乳(プロフ) - りんたろうさん» そんなふうに言って下さるととても励みになります…年齢制限のものは書ける暇があったら書こうと思います(^-^)頑張ります!ありがとうございます(´;ω;`) (2020年10月21日 17時) (レス) id: 78f1b03d1a (このIDを非表示/違反報告)
りんたろう(プロフ) - いつも面白くて読ませて頂いています!!!!年齢制限のやつ…とてもみたいです()このご時世ですのでお身体に気をつけてお過ごしください!楽しみにしています! (2020年10月21日 3時) (レス) id: ba7f2d4d8d (このIDを非表示/違反報告)
ぱるむ - 復活待ってます!すごく面白かったです! (2020年6月28日 20時) (レス) id: 4fbbe91aff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いちご牛乳 | 作成日時:2020年4月11日 3時