壱 ページ4
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おしゃれなクラシックが流れるカフェで、人一倍ひとの視線を集めている男がいた
すっと通った高い鼻筋に
切れ長の瞳と伏せられた長い睫毛
黒のタートルネックに身を包み、そこから覗く肌は男だと思えないほど白くまるで陶器のように滑らかである。
眉目秀麗という言葉だけでは済ませておけないほど端正な顔立ちをしたその男は、黒のブックカバーで包まれた本を読んでいた。
__ 時刻は 9時27分
男はちらりと自分の右腕につけられた時計をみる。
待ち合わせ時刻は午前9時。
予定時間に遅れるのは癪なので余裕をもって家を出たのにもかからず、自分に約束を持ちかけてきた男は、約束の時間を過ぎても一向に姿を表せない。
_ おそい、なにをやっているんだあのバカは
まるでそのイライラを収めるかのように
男は、トントンっと机の上を指でたたきはじめる。
_30分になってもこなかったらもう帰ろう。
男はそう心にきめ、再び目の前の本に目を落としたそのとき、途端に肩に衝撃が走った。
「Aさん、やっほ」
読んでいた本から目を離し衝撃が走った方向に目を向けると、
手をひらひらと振りながら笑顔を浮かべ
銀髪の全身黒でまとめられた服を着ている男がいた。
しかもその男の目元には黒い目隠しがまかれ
その特異な格好ゆえか、これまた、その場にいた人々の視線を集めている。
すると先ほどまで本を読んでいた男は、その男の顔をみて額に青筋を浮かべながら口を開いた。
「あ? てめぇ、散々ひとさまを待たせておきながら、謝罪の一言もなしか?あぁ?」」
男の低く機嫌の悪そうな声が静かなカフェに響く
「おー、こわいこわい。そんなに眉間にしわ寄せてたら老けちゃうよ? Aさんもうすぐ三十路なんだから気をつけなきゃ」
銀髪の男は、その声を聞いて怯えるどころか相変わらず、飄々としている
「おめぇもそろそろ三十路だろうがくそが」
「まぁまぁ、そんな怒んないでよ。ほらこれ喜久福だよいらないの?」
銀髪の男は、白の紙に葉っぱのような抹茶模様がほどこされた紙袋を男にわたす。
「...まぁ、ゆるしてやらんこともない」
その紙袋を見た途端、男はあきらかに眉間のしわがゆるみ、どことなく目元が柔らかくなった。どうやら、好物らしい。
(え、かわいい)
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月乃派(プロフ) - ハイキュー!!のを 解除してください。 (2022年3月16日 21時) (レス) id: 3dc0389d81 (このIDを非表示/違反報告)
高崎(プロフ) - コメント失礼します。クズなのに愛されてる五色くんが最高に愛しいです。。とても素敵な作品だなぁ、と思いながら読ませて頂きました。これからも応援しております…! (2020年12月5日 16時) (レス) id: c458e0c5d2 (このIDを非表示/違反報告)
ボブ - 夢主くんのクズっぷりに少々ニヤニヤしてしまいます∩^ω^∩とっても面白いので無理をしない程度に更新頑張って下さい! (2020年11月29日 23時) (レス) id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
rinn0105(プロフ) - 那宇宙さん» ほんとに分かりにくくて申し訳ありません、差し支えなければどのお話か教えていただけませんか、?ほんとに申し訳ないです。 (2020年11月8日 13時) (レス) id: f29697a046 (このIDを非表示/違反報告)
rinn0105(プロフ) - 未羽さん» 男子同士の会話ってこんな感じなのかなって想像しながら書いてると、ついついその話題になっちゃうので不安に思ってたのですがそう言ってもらえてすごくホッとしました笑 これからもよろしくお願いします (2020年11月8日 13時) (レス) id: f29697a046 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みりん | 作成日時:2020年10月28日 1時